広報パーソンのつぶやき

事業会社の広報担当者と広報コンサルティングの経験からコミュニケーション全般をメインに、ライフスタイル風なネタも。全国通訳案内士(英語)

しっかりとしたマスコミ対応は、しっかりとした●●●があってこそ

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BCPって何?

 災害の多い日本で、業務を続けるために策定されるものに、業務継続計画というものがあります。BCP(Business Continuity Plan)ともいいます。中小企業庁のホームページでは以下のように説明しています。

「企業が自然災害、大火災、テロ攻撃などの緊急事態に遭遇した場合において、事業資産の損害を最小限にとどめつつ、中核となる事業の継続あるいは早期復旧を可能とするために、平常時に行うべき活動や緊急時における事業継続のための方法、手段などを取り決めておく計画のこと。」

 

 これまでは「知る人ぞ知る」ものだったと思いますが、4月の熊本地震でもBCPの策定によって早期復旧がかなった企業があったという話を聞いたことがあります。

 

 朝日新聞の朝刊に「いちからわかる!」という、語句をわかりやすく解説するコーナーが毎日掲載されています。10月7日に「自治体や企業が作る業務継続計画って何?」という記事があり、興味深く読みました。

www.asahi.com

 

 記事によれば、2001年9月11日の米国での同時多発テロをきっかけにBCPが注目されるようになったそうです。また、筆者は初耳でしたが、「内閣府が昨年5月、自治体が必ず定めるべき6要素を示している」といいます。

 内閣府の資料によると、その6要素とは次の通りです。

①首長不在時の明確な代行順位及び職員の参集体制

②本庁舎が使用できなくなった場合の代替庁の特定

③電気、水、食料等の確保

④災害時にもつながりやすい多様な通信手段の確保

⑤重要な行政データのバックアップ 

⑥非常時優先業務の整理 

 

■マスコミ対応とBCP

 記事によると、朝日新聞が全国の市町村に調査した結果では、「計画を策定していたのは4割」、「6要素を全て網羅した計画を定めたのは5%」とまだまだ途上段階であることがわかります。

 

 小さな自治体はマンパワーや知識の面で作りたくても作れない状況があるようです。災害や緊急事態に直面すれば、こうした計画の意義や必要性は認めつつ、リソースを割く余裕がないという面もあるようです。

 

 広報活動が本領を発揮する場として、緊急事態があります。その備えとして、広報マニュアルを整備したり、シミュレーショントレーニングをしたりする企業や団体もあります。

yhkhashimoto.hatenablog.com

 

 BCPについての知識がこれまでなかったので、緊急時のマスコミ対応にしか考えが及びませんでしたが、マスコミ対応だけブラッシュアップしても、肝心なところが変わらないのなら、無意味です。危機管理対応は総合的に考えなければならず、広報部門だけが前のめりになってもうまくいきません。

 

 BCPというと災害発生を前提としているところがありますが、最近話したマスコミ関係者が「『不祥事におけるBCP』というものも意識したほうがいい」と言っていましたが、「確かにそうだ」と思います。いずれにしても、「しっかりとしたマスコミ対応は、しっかりとしたBCP策定があってこそ」です。

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