広報パーソンのつぶやき

事業会社の広報担当者と広報コンサルティングの経験からコミュニケーション全般をメインに、ライフスタイル風なネタも。全国通訳案内士(英語)

経済部、生活部、社会部の記者3人が同じレストランに入店したら

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■経済部、生活部、社会部の記者3人がレストランに入店したら

 「企業不祥事」(2007年)のなかに、「部の違いによって記者の取材ポイントが微妙に違うことをうまくあらわしているな」と感じるところがありました。それは、あるレストランに経済部、生活部、社会部の記者3人が入店したと仮定して、それぞれが何に関心を示すかを述べている部分です。

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 経済部の記者は、「経営者の視点から客の入りを確認し、売り上げ規模などを推測する」と。何が売れ、お店が今後どのように売り上げ拡大を図るかが興味の対象になります。生活部の記者は、「店の雰囲気や内装、利便性に興味を示す」と。レシピやおいしい作り方といったところも興味を引く部分でしょう。

 

 一方、社会部の記者は、「客層や産地に注意を向ける」とあります。さらに、「安全や生活が脅かされたとき、生活者の怒りや不安を代弁して記事にする」とも述べています。他の客に、「何か変わったことないですか」と真っ先に聞くのも社会部の記者ではないでしょうか。

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■細部へのこだわり

 事件や事故ばかりを追いかけている印象の社会部記者ですが、それが取材の中心であることは間違いなくても、そればかりでもありません。同書によれば、社会部の特徴は、「『守備範囲の広さ』と『視線の低さ』」だといいます。

 

 とはいえ、企業にとってはあまりお世話になりたくない存在です。メディアトレーニングを社会部OBの方と一緒にやったことがありますが、そのときに感じたことに「細部にこだわる」ということがあります。

 

 工場火災や製品リコールなどを想定したシナリオでも、シナリオに書かれていないことまで詳細に知ろうとします。社長が出てくるようなトレーニングでもそれは変わりません。このため、事故の詳細に詳しい責任者が必然的に矢面に立つことになります。その答え一つ一つが原因の特定などにつながっていくので、押さえておくべき当然のステップなのでしょう。

 

 一方で、模擬記者会見でもあるので、「(質問者である記者が)細部にこだわりすぎるのもどうかな」とも感じます。想定シナリオをいくら細かくしても限界があるし、所詮シナリオなのですから、それを詳しくしてもあまり意味がないようにも思います。

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 「業績に与える影響」とか「トップがその事実を知ったタイミング」、さらに「経営責任」や「被害者への対応」といったお決まりの質問も、後回しという印象を持ちます。

 

 「神は細部に宿る」ともいいます。トレーニングでは細部へのこだわりを多少は手加減してくれるでしょうが、本番ではそうは行かないということを教えられた気がします。

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