広報パーソンのつぶやき

事業会社の広報担当者と広報コンサルティングの経験からコミュニケーション全般をメインに、ライフスタイル風なネタも。全国通訳案内士(英語)

「当社も被害者」では納得を得ることは難しいと知るべき

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■「当社も被害者」ではだれも納得しない

 「派遣社員」や「鶏肉加工業者」の仕業とか、「ガス湯沸かし器の不正改造」が原因といって「当社も被害者だった」ということを、記者会見でことさら強調することで墓穴を掘るケースがあります。

 

 通信教育大手による顧客名簿流出のケースは、業務委託先の元派遣社員がその原因を作りました。データベースから個人情報が社外に不正に持ち出し、約3000万件分の情報を名簿業者3社へ売却していたことが判明しました。

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 ファーストフード最大手の期限切れ鶏肉をチキンナゲットに使用したケースでは、中国の委託先から材料を仕入れていました。この会社の社長会見で、「日本向けに出荷された証拠がない」、「返金は検討していない」などと消費者を愚弄するコメントを発し、さらに窮地に追い込まれました。

 

 上記の2社は、ここ数年の間に起こったことなので記憶に新しいところです。一方、ガス湯沸かし器の事例は今からちょうど10年前の事例です。経済産業省が、「ガス湯沸かし器の最大手が作った製品で、20年間で17件の一酸化炭素中毒が発生し、15人が死亡していた」という事実を公表します。

 

 これを受けて、製造元の社長が会見を行いますが、「不正改造が原因」、「当社に非はない」というスタンスを崩しませんでした。「製品には問題がなく、当社に非はない」ので、「メーカーに責任があるはずもない」と考えているため、お詫びももちろんありませんでした。死亡者を出すような重大なケースでしたが。

 

 この会見のすぐ後、このガス湯沸かし器メーカーの系列修理業者、つまり一心同体といえる関係の業者が「不正改造」に関わっていたことが判明し、初めての会見から4日後に謝罪会見に追い込まれました。後にこの社長は刑事責任を問われ、有罪判決を受けました。

 

■第三者関与のケースでの会見で留意すべきこと

 この三つのケースで共通するのは、「当社も被害者」、「非はない」と高をくくっていても、企業責任は軽くなるわけではないということです。トカゲのしっぽ切りよろしく事を収めようとしても、マスコミやその背後にいる生活者を侮ってはいけません。

 

 「社長!その会見、会社を潰します」(2016年)で、第三者関与の場合に留意すべきこととして三つ挙げています。

1.第三者と思っていた人物が企業の従業員であるもかしれない。関連会社の従業員かもしれない。
2.(第三者であったとしても、)その関与を許したことについて、企業の社会的な意味での管理責任が問われる可能性がある。
3.関与者が企業の取引先である場合、「取引先マネジメント」のあり方が問われる可能性がある。

社長!  その会見、会社を潰します 「戦略的経営広報」の実際

 

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