若い世代に薦めたい投資の入門書「投資の大原則」
■「絶対に、絶対に、カードローンに頼ってはいけない」
「敗者のゲーム」と「ウォール街のランダムウォーカー」という証券投資のバイブルともいえる本があります。後者は自宅にもある本ですが、前者は初耳なので、図書館で借りてこようと思います。この二つの本の著者がタッグを組んで書いた本が、「投資の大原則」(2010年)です。平易な内容です。投資をこれから始めたいと思う、特に若い世代に薦めたい投資の入門書です。
序文に言葉を寄せた米大学教授は、アインシュタインの「できるだけシンプルに、しかしシンプルすぎないように」という言葉を引用して、「原理・原則に絞って書くように心がけている」と紹介しています。
「投資をするうえで最も大事なことは何か?」と問われたらどう答えるでしょうか。本書によれば、「全てはお金を貯めることから始まる」と。当たり前のことですが、なかなか容易ではないのが世の習いです。そこで大事なのが「節約をする」ということ。
節約の効用を二つ挙げています。一つ目が、「節約をしておけば、後でひどい後悔に悩まされることがない」。そして二つ目が、「節約は精神的にも良い効果がある」。
節約というと何かを犠牲にしてようやく得られるイメージがありますが、その真の目的は、「自分の人生において大切だと思うことを達成したり、継続したりすることにある。我慢に我慢を重ね、無理をすることではない」と。
本書の中で何度も出てくるのは、クレジットカードの使い過ぎ、特に、「絶対に、絶対に、カードローンに頼ってはいけない」と力説しています。全く同感です。クレジットカードの便利さは長年実感していますが、カードローンは別です。むしろこの機能だけは外してほしいと思うぐらいです。
投資の大家が書いた本で、まず最初に「節約を薦める」、そんな本を筆者は読んだことがなく、とても新鮮でした。しかも、「カードローンに頼ってはいけない」と。
肝心の投資法については、分散投資に妙味があるインデックス投資を推奨しています。筆者も長年細々と投資をしてきましたが、損を重ねて気がついたのが、これです。個別の銘柄に投資をするのではなく、S&P500とかTOPIXのように、市場全体に投資するのがインデックス投資です。
■「税優遇策をフル活用する」
また、「税優遇策をフル活用する」とも述べています。「税金を節約することが家計運営の大切なポイントとなる。税金を節約すれば、それを蓄えて投資に回せる」と。
わが国では、NISAという制度が2年ほど前にできましたが、これも税優遇策の一つです。年間120万円以下の投資で得た利益が非課税となる制度です。上限はあるものの、この制度を使わないとせっかく投資で利益が得られても、その2割ほどが税金として取られてしまうので、使わない手はありません。
確定拠出年金もそうです。2017年1月から誰もが加入できる制度になります。老後資産の形成のための制度で、税金面の恩恵が多く、単に積立預金をするよりもいいかもしれません。(ただし、60歳まで引き出せないという制約アリ。)
「確定拠出年金」3つのメリットと2つの注意点とは?「個人型確定拠出年金」の税制面の利点を生かして、低コストの投資信託で老後資金を賢く増やそう!|ダイヤモンドZAi最新記事|ザイ・オンライン
「投資は単純明快にーシンプルにしておくこと。それが安定した退職後の生活資金を確保するためには簡単で、経費がかからず、あれこれ心配せずに済む、最高の投資方法だ」といいます。老後の心配をするには早すぎる人もいるでしょうが、得られることの多い本です。