広報パーソンのつぶやき

事業会社の広報担当者と広報コンサルティングの経験からコミュニケーション全般をメインに、ライフスタイル風なネタも。全国通訳案内士(英語)

炎上で人生を壊された人についての本

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「世界最大のネット炎上事件」

 この2月に発売された「ネットリンチで人生を壊された人たち」という本を読みました。新書にしては分厚い本ですが、著者の緻密な取材もあって、とても読み応えがありました。この中で「世界最大のネット炎上事件」のことを初めて知りました。

ルポ ネットリンチで人生を壊された人たち (光文社新書)

 

 30代の米国人女性による人種差別的なツイートが発端です。ツイートの内容は本に譲りますが、出来の良くないジョークと言えなくもありません。驚いたのは、このツイートをつぶやいた白人女性がIT企業の広報ディレクターだったということです。実名で職場も明らかにしたうえでのツイートだったわけです。

 

 アフリカ行きの飛行機に乗る前に行ったツイートによって、搭乗後に拡散し、「どの飛行機でいつ到着するか」、「到着後のツイート主の写真を撮る」といったことが本人が何も知らないまま、特定されてしまいました。

 

 本来、コミュニケーションやネットに関するリテラシーが高くないとつとまらないとはずの人物が、不用意に行ってしまったのが大炎上のきっかけです。この騒動のせいでこの女性で会社を即刻解雇され、自身の人生が大きく狂うことになります。フォロワーは100人程度だったそうですが、フォロワーの一人がジャーナリストでこの人物がリツイートしたことが拡散のきっかけだったそうです。

 

■ネット炎上と渋谷の交差点

 本にも紹介されていますが、「フェイスブックは知り合いに見栄を張るところ。ツイッターは見ず知らずの他人に本音を言うところ」と。確かにそういう一面はあると思います。先日当ブログでも述べたソフトウェア開発の社長の炎上ツイートもその一つです。

yhkhashimoto.hatenablog.com

 

 先の広報ディレクターやソフトウェア開発の社長のツイートに触れると、「何バカなこと言ってるんだ」と怒りのリツイートを生むのも理解できるところです。以前、読んだ新聞記事に「ネットにモノを書くということは、渋谷の交差点で、ボードを掲げて立っているのと同じ」とあったことを思い出します。

yhkhashimoto.hatenablog.com

 

 渋谷の交差点でボードを掲げても、そのボードをしまえばそれ以上は何も起こりません。しかし、ネットは永遠に残ってしまいます。「ツイート(ボード)を読んでいやな気持になる人がいないか?」ということを「必要以上に」意識しないと「人生を壊されてしまう」こともある、ということをこの本を読んで感じます。

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