三人の登壇者がいる記者会見でサブスピーカーはどちらに座るべきか
■三人の場合は左(向かって右)が上位
先日、三人で記者会見を開くことになった場合、「メインスピーカーに次ぐ立場の人は、向かって右側に座るべきか、それとも左側に座るべきか?」、という質問を受けました。広報関連の業務に就いて20年余りですが、メインスピーカーが真ん中であれば、それ以外の登壇者については「どちらに座ってもいい」と認識していました。
相談を受けた時は、「明確な決まりはない。オリンピックなどの表彰台では、二位は向かって左、そして三位は向かって右なので、それにならってもいいのではないか」と答えました。同時に内心では、「会見は表彰台セレモニーとは違うのだし、何か決まり事があるのかもしれない」とも思いました。
相談を持ちかけた人も独自で調べたようで、なるほどと思われる記事を紹介してくれました。これによると日本には中国からはるか昔に伝わった習わしとして「左(向かって右)を上位、右(向かって左)を下位」とするのだそうです。
■左大臣が右大臣より上位
かつて朝廷におかれた左大臣と右大臣も天皇から見て、その左にいる左大臣は右に位置する右大臣よりも位が上とされます。舞台でも左側(客席から見ると右側)が「上手」です。記事によると、これ以外にも「左上位は日常生活のしきたりにも浸透」していると。ふすまや障子のはめ方にもあてはまるのだそうです。
こうした考え方に立つと、記者会見に三名で臨む場合、メインスピーカーは真ん中、その左(記者席から向かって右)がNo.2、そして右(記者席から向かって左)がNo.3となるのが「あるべき姿」と言えそうです。
■三社の並び順は確かに左上位
実際の会見の現場ではどうなのでしょうか。三人が登壇したケースを調べてみました。例えば、2年前に“傾きマンション”で会見を行った旭化成のケースでは、旭化成の社長が中央、向かって右が旭化成建材の社長、そして旭化成の副社長が向かって左でした。説明もこの順番です。
電通が行った昨年末に社長が行った会見でも、向かって右が副社長、向かって左が人事局長。まとめサイトで問題を起こしたDeNAが行った会見でも、社長が真ん中で、夫の介護のために社長の座を譲った会長が向かって右、経営企画本部長が向かって左でした。
ちなみに登壇者が二名の場合は、左上位にならって左(向かって右)がメインスピーカーとするのが“座り”がいいようです。しかし、安倍首相が夫人と飛行機から降りてくる姿や皇室の新年の一般参賀の写真や映像を見ると、決まって右上位となっていて、混乱するばかりです。
記者会見の席順よりも気をつけなくてはいけないのは、その内容なのは言うまでもないことですが、広報担当者なら席順を豆知識として押さえておいてもいいと思います。