広報パーソンのつぶやき

事業会社の広報担当者と広報コンサルティングの経験からコミュニケーション全般をメインに、ライフスタイル風なネタも。通訳案内士(英語)

通訳案内士試験の大幅難化がもたらす弊害

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■「『全国』通訳案内士」とは

 有料で通訳案内業務を提供するのに、本年1月から資格が不要になりました。増加を続ける訪日外国人観光客の受け入れ環境の整備を図る一環とされています。「そもそも資格なんか必要だったの?」と思う人が多いでしょうが。

 その資格というのが通訳案内士です。れっきとした国家資格ですが、このたび業務独占が崩れ、資格の名称も「『全国』通訳案内士」と改められました。つまり、誰でもその気になれば有料で通訳兼ガイドをやれるようにはなりましたが、バックグラウンドのないガイドは「信用」という点では資格保有者に比べて大きく劣ることになります。

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 通訳ガイドが足りないのなら、業務独占を維持しつつ、資格要件を緩くして保有者を増やす機会を増やせばいいと思います。しかし、そうはなりませんでした。2018年度以降の通訳案内士試験は現行の四科目(言語、日本歴史、日本地理、一般常識)に通訳案内の実務の科目が新たに三つ加わるようです。

 

 しかも筆記試験の免除の要件も厳しくなります。例えば英語ではTOEICが840点以上でこれまでは免除されましたが、これが900点以上に引き上げられます。しかも試験から1年以内の取得に限られます。受けたことがある人にはわかりますが、TOEICの840点と900点ではかなり違います。少なくとも私には無理です。。

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■試験の難化がもたらす弊害
 試験の詳細は今後の観光庁の発表を待たなければなりませんが、新たに加えられるのは「旅程の管理に関する基礎的な項目・関係法令に関する基本的な知識」、「外国人ごとのの生活文化への対応」そして「危機管理・災害発生時における適切な対応」の三科目とされます。これはこれで必要な知識なのでしょうが。ちなみに受かった人もこれらの内容の研修を受けることが義務付けられました。

 

 スキルの高い通訳案内士を輩出するなら必要な知識であることは理解できます。ならば、最初からそうすべきでしょう。途中から大きく試験内容を変えるのは、いかがなものかと思います。難化前に受かったからと手放しで喜ぶ気にはなれない「改悪」です。

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 これから目指そうと考える人たちには何とも気の毒な試験の見直しです。そもそも通訳案内士の資格はせっかく取れてもそれだけでは残念ながら「食えません」。観光庁が行った「通訳案内士の就業実態等について」によれば、実に76%の人が通訳案内士としては未就業です。専業として身を立てている人は6%にとどまります。また、資格取得の動機も「就業するため」(54%)を抑えて「語学力を証明するため」(63%)が第一位でした。

 

 今回の難化で志半ばであきらめてしまって、さらになり手が減ってしまうんじゃないかと危惧します。せっかく2020年という追い風があるのに。

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