広報パーソンのつぶやき

事業会社の広報担当者と広報コンサルティングの経験からコミュニケーション全般をメインに、ライフスタイル風なネタも。全国通訳案内士(英語)

ネガティブフレーズを繰り返すな

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房総半島の朝焼け

■メディアトレーニングの前に行うもう一つの訓練
 メディアトレーニングは、企業や団体のトップや幹部向けに危機管理広報の重要性を理解してもらうとともに、マスコミに対する受け答えを訓練する研修プログラムです。想定シナリオに沿って、プレスリリースや想定Q&Aを作り、模擬記者会見を行います。その後、講師が会見の受け答えや振る舞いについて講評を行うのが一般的な流れです。

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 想定シナリオは、その企業や団体にとって起こりうるリスクが題材として取り上げられます。筆者もメディアトレーニングを業務として請け負うことがありますが、会社によって当然リスクが異なるので、火災事故、情報漏洩、過重労働、検査データ不正など、シナリオもかなりバラエティに富んだものになっています。

 記者会見を行う前に、情報を対策本部に集約・整理し、広報対応を含む事態への方針を決めるプロセスがとても重要です。このプロセスがあって初めて、プレスリリースや想定Q&Aの作成ができ、記者会見も行えるといっても過言ではありません。このため、記者会見の前に対策本部会議を模擬的に行うケースもあり、セットで行ったほうが結果的に受講者の満足度も高いのではないかと思います。

■ネガティブフレーズを繰り返すな
 日本でも徐々に認知が広がっているメディアトレーニングですが、アメリカでは幹部研修のプログラムとして以前から一般化しています。それもあってかメディア対応に関する様々なtips(ティップス)がネットで紹介されています。

 

 そうしたtipsに決まって出てくるものの一つに”Don’t use negative language”(ネガティブな言葉を使うな)というものがあります。別のサイトでは”Don’t repeat negative phrases”(ネガティブフレーズを繰り返すな)とありました。言われてみるとその通りですが、なじみがないアドバイスで新鮮でした。

 記者が質問をする際に、否定的なフレーズを使ってコメントを引き出そうとすることがあります。例えば記者が「初期対応に問題があったのではないか?」、と否定的な質問をしたとします。この時の答え方として、「初期対応に問題があったとは考えていない」と答えてはいけない、というものです。

 その理由として、質問で使った否定的な表現をそのまま使ってしまった結果、その部分だけが切り取られて引用される可能性があるためだと説明されています。確かに「初期対応に問題があったとは考えていない」というコメントだけが切り取られると、不遜な印象を与える可能性があります。

 その代りに「そういうご指摘を含めて、初期対応について調査中(あるいは調査する予定)です」と答えれば、少なくとも不遜な印象を与えることはなくなります。今後のアドバイスに「ネガティブフレーズを繰り返すな」を加えたいと思います。

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