三菱自工は「組織ぐるみだった」という前提で解決への道筋を示すべき
■「またか」も当然の三菱自動車の不祥事
三菱自動車の軽自動車4車種で燃費試験のデータを不正に操作していたことが、20日の相川哲郎社長による会見で明らかになりました。三菱自動車は2000年に「リコール隠し」の発覚以降、02年の死亡事故の原因である、大型車の欠陥を組織的に隠ぺいするなど、再三問題を起こしてきました。
2012年にも176万台もの軽自動車のリコールを起こしたばかり。今回の不正はその半年後に早くも発生していたことになります。今回の問題の発覚は、共同開発相手の日産自動車からの指摘が去年の11月にあったことがきっかけ。
ということは、それがなければ、公にならなかった可能性も高い。「またか」と不信感を抱く人は同社の車を保有している人ばかりではないだけに、これまで以上のネガティブインパクトになることは間違いありません。
相川社長は、「全社員にコンプライアンスを徹底する難しさを感じている。無念で忸怩たる思い」を言葉を詰まらせながら釈明したとされます。しかし、何も変わっていなかった企業体質が明らかになったことは、裏切り行為と断罪されてしかるべき所業です。
■「存続問われるお粗末な会見」
今回の緊急記者会見は、20日の17時から国交省内で開かれましたが、「存続問われるお粗末な会見」だったとの指摘があります。
三菱自動車、存続問われるお粗末会見 (ニュースソクラ) - Yahoo!ニュース
この記事によれば、検査にあたった部長が不正の指示を認めているとされます。しかし、その上司やほかの関連部署については、「ヒアリングしていない」と答えたと。記事に「常識では考えられない説明」とあるように、「じゃあ、調べてから出直して来い」と噛みつかれそうな答弁です。
さらに、外部有識者の調査委員会を設置し、今回の原因究明にあたらせるということについても、「隠れ蓑に使っている印象すら与えた」と述べています。12年の大規模リコールの時もそうだったわけで、ネガティブインパクトの減衰を狙ったもの、ととらえられても仕方ありません。
■三菱自動車に求められること
事の問題の大きさやこれまでの「裏切り行為」の前例を考えると、調べられることは、11月以降からこれまでの間に調べつくし、それも併せて報告するような内容の会見にしなければ、誰も納得しません。
企業の不祥事が発生すると、「組織ぐるみだった」と認めることを極力避ける意識が働きます。同社はかつて、国に虚偽の説明をするなどして元社長らが有罪判決を受けた過去を持ちます。ここはあえて、「組織ぐるみだった」という前提に立った、解決への道筋を示すことが求められます。