広報パーソンのつぶやき

事業会社の広報担当者と広報コンサルティングの経験からコミュニケーション全般をメインに、ライフスタイル風なネタも。全国通訳案内士(英語)

緊急記者会見の司会は「サッカーのレフェリー」と心得よ

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■緊急記者会見の司会は「サッカーのレフェリー」

 事件、事故、不祥事といった謝罪を伴う緊急記者会見では、スポークスパーソンが重要な役割を担うのは言うまでもありませんが、司会の力量も重要です。通常、広報部門を司る責任者やそれに次ぐ立場の人間がその役目を務めます。

 

 リリースや補足資料に沿った説明の後、司会が「ただいまから皆様からのご質問をお受けします。ご質問のある方は挙手の上でお願いします」などと、質疑応答の開始を伝えます。

 

 最近とある新聞社の記者OBが、記者会見における司会について、「サッカーのレフェリーであるべき」と述べていて、「確かにそうだな」と感じました。社内の側に立つのではなく、「あくまで中立の立場を維持すべき」だと筆者も思っていたからです。

 

 司会進行の上で、大事な事の一つは時間管理ですが、これまでのそれなりに多い経験では、説明が20~30分、質疑応答もほぼ同じくらいの時間をかけ、1時間ほどで終わるケースが大半です。しかし、3.11発生時の東京電力の会見などのように、重大な事故では5~6時間かかったという話を聞いたことがありますが、あくまで例外的なことです。

 

 「会見時間は1時間をめどに」と冒頭に伝えるケースもありますが、質問が続いているのにそれを打ち切ってしまうのは、記者の心証を悪くするだけなので、終了時間をあらかじめ決めておくことが必ずしも正しいとは思いません。

 

質問が途切れるまで会見を続けるのが鉄則

 筆者がかかわったケースでも「会見時間は1時間をメドに」としてスタートした緊急会見がありました。スポークスパーソンをおもんぱかってのことでしょうが、残された司会者に対してクレームが殺到していました。対処法としては、質問が途切れるまで会見を続けるのが鉄則ですし、それで解決するケースがほとんどです。

 

 このケースでは会見が終了しそうな雰囲気を察知した記者やカメラマンが「ぶら下がり」を敢行しようと、スポークスパーソンに殺到したという点でも新鮮でした。しかし、こうした会見ではぶら下がりへの対応は避けるべきです。

 

 あまりにも有名な「私は寝ていないんだ」発言は、会見を唐突に打ち切った後のぶら下がりで出たものです。マスコミとは別の出入り口を確保しておかないと、ぶら下がりにつかまって不用意な発言がクローズアップされかねません。

 

 ただ、司会者がその立場を忘れて、会見場を後にする社長の護衛のようなことをして、記者の失笑を買ったという話も聞きます。司会者は最後まで司会者であるべきです。社長の導線をケアする担当者は別に置くべきでしょう。

 

 会見は一回で終わらせるべきですが、問題が長期化しそうな重大事故なら、「会見後速やかに事故への対応をしなければならないため、ここでいったん質問を打ち切らせていただきたい」とし、司会(広報)が記者からの質問を受け付けて、次回の会見時に事故の進捗とともに、質問事項に答えるということが考えられます。出来るだけ経験したくないことですが。。

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