広報パーソンのつぶやき

事業会社の広報担当者と広報コンサルティングの経験からコミュニケーション全般をメインに、ライフスタイル風なネタも。全国通訳案内士(英語)

新製品が伝えるべきメディアとは

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 特定のメディアに対し、公表されていない情報を意図的に提供することを俗に「リーク」といいます。メディア相手に使う言葉ではありませんが、広報サイドの「様々な事情」により、往々にして行われているのが実情です。

 

 記者が興味を持ってくれ、書いてくれそうな内容であることが前提ですが、いわゆる「特ダネ」の部類に入る場合も少なくないので、相対的に大きな記事として扱われることが多くなります。

 

 「様々な事情」とは言うものの、1面記事になったり、通常の発表の仕方なら取り上げてもらえないようなネタが全国紙で記事になったりすることもあるため、ここに広報サイドの最大の狙いがあります。

 

 他にも記者がニュースの端緒をつかんでいるようなのでミスリードをさせないため、内容が専門的なので取材による丁寧な背景説明が必要なため、そして記者との良好な関係を築くため、などが実施の理由として挙げられます。

 

 もちろんデメリットもあります。一紙だけに記事が出るわけですから、他のメディアはおもしろいはずがありません。重要だと思われるニュースであればあるほど、その傾向が強まります。

 

 いくら広報担当者が取り繕っても、効果はほとんどありませんし、記事が出た後にリリースを配っても、後追いで記事になればいいほうで、最初から一斉発表にしていたら記事になったかもしれないのに、記事にならない(してもらえない)という逆のリスクもあります。

 

 以前、B2Cの会社が新製品を開発し、発売を開始するというケースで相談を受けたことがあります。その会社にとっての主力製品のリニューアルで、技術的にもこれまでにない工夫を盛り込んだものです。

 

 元々その会社は、それほど広報活動を活発に行っているわけではなく、特定のメディアとのコミュニケーションを重視していました。なので、関係も良好な某紙に取材してもらおうと考えていたようでした。

 

 意見を求められた私は「その新聞では取り上げられても、他紙では掲載されず、機会損失につながりかねない。御社のメイン事業の新製品なので、発表会の形でより多くのメディアに取り上げてもらうことを目指すべきだと思います」と伝え、結果としてそのようになりました。

 

 新製品の発表では、インパクトよりも広くメディアに掲載されることに主眼を置くべきだと考えます。自動車や携帯電話の新製品発表では、大きな会場に記者を集めて、社長や有名タレントが登場する中で華々しく行われる様子が度々報道されます。注目度の高い企業・商品のなせる業ですが、これも広く取り上げられることを企図したものと言えるでしょう。