ネタを売り込むときに大事なこと
「これは」というネタを新聞社に売り込むときに大事なのは「いい記者をつかまえる」ことにあると全国紙の記者にアドバイスを受けたことがあります。広報の仕事を長くしていると、いろんな記者に出会いますが、共通するのは真摯でまじめな姿勢です。中には少し偏屈(失礼!)な人もいますが。
こちらから提供するネタの社会的な意味を理解してくれて一緒に面白がってくれるのが理想的です。どのような記者も常にネタを欲していますが、一緒に面白がってくれないと残念ながら記事にはなりません。
企業からの売り込みのケースではありませんが、経済紙の記者が大きな事件が発生した時は「土日を含めて3か月間まったく休みが取れなかった」そうです。なぜ、そこまでするのかと聞いたら、「ひたすらネタがほしいから」と言っていました。このように記者の「興味の網」にかかるかどうかという点は残るものの、「ネタ命」の習性があります。
ネタの大小はありますが「出来るだけ記者との接点を多くする」、「記者に顔を売っておく」ことで、ネタのをふくらますヒントが生まれることが少なくなく、これが記事の掲載につながっていきます。広報担当者はどんどん記者の懐に入っていくのがいいし、忙しいタイミングでなければ、面談のリクエストにも応えてくれるはずです。
ネタすなわち「情報」は読んで字のごとく「情けに報いるもの」です。「人間関係の基本が情報という字に現れている」とある記者が言っていました。「情けは人のためならず」という格言もあります。人に情けをかける、親切にする、話を聞いてあげる(聞いてもらう)といずれ自分に返ってくると信じ、積極的に働きかけることが大事です。
記者との信頼関係が醸成されれば、そこから先はそれほど難しくありません。懇意にしていたとある全国紙の経済部の記者はまさに転勤族。その記者とは東京で出会いましたが、名古屋、大阪と2,3年おきに移り、現在は東北地方の支局にいます。
その記者が名古屋で仕事していた時は、名古屋に本社のある企業を紹介し、社長インタビューを掲載してもらったことがあります。また、東京で一定の知名度がある企業でも関西ではそれほどでもないということから、大阪にその彼がいた時には、その会社の関西での取り組みに関する取材をセッティングしたということもありました。この時も大阪版のみでしたが、カラー写真付で掲載されました。
記者と広報担当者ももとをただせば、人と人。「情けに報いる」ためと、意気に感じ、意気に感じてもらえるような関係づくりがいい結果につながります。