PRプランナーになれば「経験豊富」なのか?
■PR会社は「経験豊富」なのか?
「広報活動を始めて間もない会社や始めたいけど何をどうしたら効果的なのかがわからない会社は、経験豊富なPR会社に活動のサポートを頼むことも一案」、という主旨のことがある広報指南本に書いていました。
「経験豊富?」と違和感を覚えながら読みました。以前にもちょっと指摘したように、一部の社員を除けば、とても経験豊富とは言えないからです。
多くのクライアントは手がかかる作業、例えば、プレスイベントやインタビューのためのメディア誘致といったことをアウトソースしているのが実態です。こうした分野だけに限れば確かに「経験豊富」といえるかもしれませんが。とはいえ、広報戦略や露出の拡大のための提案力には少々疑問です。
手がかかるとはいえ、リリース配布やメディア誘致は記者との関係を深める絶好の機会です。アウトソースなどせずに、自社で賄うべきではないか。メディアとのコンタクトポイントは自社で担うべきだと強く感じます。
■PRプランナーになれば「経験豊富」なのか?
「広報・PRに携わる者の意識・知識・技能の向上をはかる」目的で、日本PR協会が認定するPRプランナーという制度が2008年に創設しました。2次試験をパスして、かつ3年以上の広報・PR関連実務経験者であれば、PRプランナーを名乗れるようです。
年2回の受験チャンスがありますが、受験者が少しずつ減っているようです。合格者の半数は一般企業、3割がPR会社。資格を持っていない筆者の周りには、何人か取得したという人がいます。ただ、経験がモノをいう世界で、PRプランナーを取ったから「経験豊富でなんでも相談できる」とは思えません。
取得すること自体を否定するつもりは全くありません。それがモチベーションにつながることもあるし、若い広報パーソンなら先のキャリアも考えて、TOEICなどのように履歴書に書ける資格として取っておくのもアリだと思います。
■経験も大事。変化への適応力はもっと大事
「天才!成功する人々の法則」にビル・ゲイツやビートルズの例を引きながら唱えた「1万時間の法則」という有名な法則があります。筆者のような凡人とは無縁の話ですが、「それなりのレベルに達するには時間が必要だ」という点では同意します。
休みなどを考慮して、例えば毎日3時間取り組んだとして約9年、毎日4時間なら約7年です。要領がよければそんなにかからないという人もいるでしょうし、取り組む中身や環境次第ですが。
筆者も、「(広報の経験が長いからといって)自分の価値観を押し付けることは慎まなければならない」と思っています。企業やコミュニケーションを取り巻く環境は常に変わっているからです。そんな時にCharles Darwinの言葉をいつも思い出します。
It is not the strongest of the species that survives, nor the most intelligent that survives. It is the one that is most adaptable to change.
生き残る種とは、最も強いものでも、最も知的なものでもない。それは、変化に最もよく適応したものである。