自分の評判は自分ではわからない。だから、評判を新たに作るには「一貫性」が大事
■自分の評判は自分ではわからない
何年も前のことを振り返って、事あるごとにその手柄や成果を持ち出す人がいます。聞いている周りの人間は、「何の意味ももたない」と感じているのに。過去にしがみついているだけにしか聞こえないないし、いっそ「それで今は何やっているんですか?」と話の腰を折ってあげたくもなります。
第三者に聞いても同じ人物評。平たくいえば「イタい人」の部類です。過去の輝かしい(と自分が思っている)実績を持ち出せば、相手が尊敬の念を抱き、進行中の商談がうまくいくとでも思うのでしょうか。
その相手が自分より年長者だと、年少者がいくら指摘しても、「気分を害するだけだろうから」という意識が先に立つはず。したがって、「またか…」と感じながら、我慢して聞くしかしかない。
このように、(たとえ本人に改善する気持ちがあっても)他人からどう見られているかを知るすべがない、改善しようにも情報がなければ気づきようもない、ということがあります。自分の評判というものは自分ではわからないものです。
かつて勤務していた会社では「多面観察」あるいは「360度評価」といった人事評価制度を採用していました。同僚や部下が自分をどのように見ているか、ということがグラフでフィードバックされます。残念だったのは、フィードバックが具体的でないこと。どこをどのように改善すべきかということはわからずじまいでした。
■新たな評判を築くには?
GEのJack Welchをはじめ、数多くのビジネスエグゼクティブ向けコーチングの第一人者が書いた「コーチングの神様が教える「前向き思考」の見つけ方」(2011年)には、「評判は一夜にしてできあがるものではない。一つの出来事があなたの評判を作るものでもないし、一度改める態度を示したからと言って変えられるものでもない」とあります。
そして「評判を新たに作るには、安定的に、似たような行動をいくつも重ねなければならない」と。つまり「一貫性」がないと評判を作ることはできないということ。
■企業でも必要な「評判作り」
「コーポレート・レピュテーション」(2005年)にはステークホルダーのレピュテーション、つまり評判を高める取り組みが企業には欠かせない、と説いています。ここで重要な役割を果たすのが広報活動をはじめとしたコミュニケーション戦略。「レピュテーションを高めるコミュニケーション五原則」を以下の通りです。
- 独自性 その企業らしさが明確で、個性が感じられること
- 顕示性 目に見える形で、積極的にアピールすること
- 透明性 包み隠さず、積極的に情報開示すること
- 真実性 正直に語ること
- 一貫性 統一性、継続性をもつこと
企業と個人を同じ土俵に乗せるわけにはいきませんが、くしくも「一貫性」がここでも登場します。
善意の第三者が直言して、他人にとってはどうでもいい過去の手柄や成果を渋々持ち出すのをやめたとします。でも、それが続かなかったり、形を変えて別の自慢話になるようでは意味がありません。いつの日かその人も気が付いてくれるといいのですが。。