工場へのプレスツアーを企画しよう
■工場へのプレスツアーを企画しよう
製造業の広報担当者なら、自社の工場見学会を企画してはどうでしょうか。自身も事業会社の広報担当者として、外部の広報コンサルの立場として、いくつかのマスコミ向け工場見学会を実施したことがあります。
記者にとって、製造現場を肌で感じることは、その会社を知るうえでとても重要です。4月18日の日経産業新聞の「サーチライト」に「アルミ板、品質管理を徹底」というコラムが掲載されていますが、工場見学会がベースになった記事です。
「落としたコンタクトレンズでも探しているのか」。こう書きだされた記事には、アルミ板の製造現場での、地道な品質管理の一端を知ることができます。3人の作業員がアルミ板の上を地べたを這うように「傷」を探しているのだと。画像検査などのチェックを終えてなお、目視によって不良品をあぶりだす。
そんな光景を記者は目にします。こうした記事は製造現場に実際に出向かないと書けない記事です。「徹底した品質管理を行っています」というのは簡単でも、「実際にどのようなことが行われているか」については案外知らないことも多い。広報担当者も出来るだけ現場を経験しておくべきです。
栃木県の真岡市に神戸製鋼のアルミ板の製造拠点はあります。アルミ板は自動車や電車の車体、そして飲料缶などに使われます。供給先の品質要求が上がっていることと、設備の増強余地が限られていることが、品質向上に対する厳しい姿勢を後押ししているといいます。
■海外メディアにも有効
海外のメディアを、精密機械の工場に連れていく企画を行ったことがあります。10名ほどのツアーでした。朝に東京を立って、午後に中部地方の拠点に到着。工場幹部の事業説明などの後に、製造現場へ。特派員は説明に熱心に聞き入り、写真も撮影していました。その夜は近くの観光名所にほど近いホテルに宿泊し、翌日の午前はその観光名所に案内しました。
数日後に複数の新聞社が記事が配信。日本企業の製造現場に対するこだわりに焦点をあてた記事でした。その国を代表する新聞に写真付きで掲載されることは、そうあることではないので、とてもうれしかったことを思い出します。
マスコミだけでなく、他のステークホルダーに対しても工場見学は有効な手段。筆者が社会人になって就職した企業でも、内定者全員に対して行っていましたし、株主向けに行っている会社も増えています。
現場を見せる。製造業だからこそできる絶好の広報素材です。