広報パーソンのつぶやき

事業会社の広報担当者と広報コンサルティングの経験からコミュニケーション全般をメインに、ライフスタイル風なネタも。全国通訳案内士(英語)

「会社案内」と「ファクトブック」のいいとこ取りした「プレスキット」

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■「会社案内」、「ファクトブック」、そして「プレスキット」

 広報活動において、プレスリリースはおなじみでも、「プレスキット」は案外知られていない地味な存在です。大きな会社なら「会社案内」や「ファクトブック」があり、わざわざ作る必要のないものでもあります。

 

 念のため、整理しておくと「会社案内」は、会社のパンフレットのこと。写真をふんだんに使ったイメージ重視の冊子。これに対し、「ファクトブック」は過年度の業績推移や配当といった経営指標、歴代社長、各事業を表す数値が盛り込まれたデータ重視の冊子。写真は少なく、一色刷りが多い。

 

 筆者が事業会社の広報担当者のころは、メディア向けの会社レクには「会社案内」と「ファクトブック」を両方渡し、「ファクトブック」(名称は違いますが)を主に説明に使っていました。「会社案内」はイメージ重視という性質上、説明には不向きな面があるし、毎年リニューアルするものでもありません。

 

 その点、データ重視の「ファクトブック」は毎年更新するのが基本です。メディア向けには最新の情報を伝える必要があるので、こちらを会社レクに使うほうが理に適っているわけです。それなりの規模の会社であれば、両方作るということもできますが、予算が限られる中小企業ではそうもいきません。

 

■「プレスキット」制作の三つのポイント

 そこで活用したいのが「プレスキット」です。何か特別な資料という印象がなくもないですが、難しく考える必要はありません。いわば「ファクトブック」の簡易版です。「会社案内」を補足するための資料なので、パワーポイントやワードで作ったもので一向に構わない。

 

 ポイントは、「最新の情報を入れること」、「客観的なデータを入れること」、「WHATやHOWだけでなくWHYを盛り込む」の三つです。

 

 先に述べたように、毎年アップデートするのが原則です。更新する時期は決めておいた方がよい。例えば、3月期決算の会社なら7~8月というように。5月には前年度の決算発表が終わり、6月末には株主総会が行われます。なので、更新するタイミングとしては申し分ない。

 

 業界が俯瞰できる客観データも入れるようにします。自分の会社の業界における位置づけは会社レクでは欠かせない説明ですが、「何をもってそう言えるのか?」という部分の肉付けが必要です。それを客観データで示すようにします。

 

 そして、通りいっぺんの内容ではなく、自社の強みをきちんと盛り込みます。自分たちがどういう事業を行っているかというWHAT、そして他社とはどう違うのかというHOWは比較的整理できているはず。しかし、もう一歩踏み込んで、「なぜ自分たちでなければならないのか」というWHYを盛り込むのが理想です。

 

 以前読んだ本に、AppleApple足らしめているのは、「信念」というWHYを具現化しているからだとありました。「人々は、あなたのWHATを買うわけではない。あなたがそれをしているWHYを買う」のだと。

 

 WHYを是非「プレスキット」に加えてほしいと思います。

yhkhashimoto.hatenablog.com

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