WHATでもHOWでもなく「WHYから始めよ」
■WHATでもHOWでもなくWHYから始めよ
「新しいアイディアに心を開いている人、その場限りではない成功を収めたいと模索している人、自分の成功には人の支援が必要だと感じている人。そんなみなさんは、ぜひ挑戦してもらいたい」。そんなテーマの「WHYから始めよ」(2012年)を読みました。
本の著者は、WHYをコアとする三つの同心円を示し、WHYの外側にHOW、HOWの外側にWHATを置く。これを「ゴールデン・サークル」と呼ぶ。多くは「円の外側から内側に向かう順番で考え、行動し、コミュニケーションをはかっている」と。
企業や組織にとって、自分のWHAT(していること)はわかっています。誰でも自分たちの会社や組織が担っていることは説明できます。次に、他とはどう違うのか、それはより良い方法なのか、というHOW(手法)がある。これを知っていて説明できる人や企業もなかにはある。ただ、「HOWさえわかっていればそれでいいと考えるのは間違っている」と述べます。
筆者は本から入りましたが、著者のサイモン・シネックのTEDスピーチも有名のようです。
TEDスピーチ サイモンシネック 優れたリーダーはどうやって行動を促すか SimonSinek 2009X low ja
■WHYなき会社説明
さらに突き詰めて、自分がしているWHY(理由)はあるのか。「これを明言できる人や企業は少ない」と。「お金を稼ぐ」のは結果であり、ここでいう理由には含まれない。あなたの(会社や組織の)目的は何か?大義や理念は何なのか?それを尋ねているのだ、と著者はいいます。
自分たちの会社の商品やサービスあるいは会社そのものについての説明は日常的に行うものです。つまりWHATは日々行っていることのはず。伝え方のコツも繰り返すうちにつかんできます。また、他社製品との差別化ポイント、新たに策定した中期経営計画の特徴といったHOWも、内部資料があるはずだから、WHAT同様さほど難しいことではないはず。
しかし、WHYとなると勝手が違います。「何だっけ?」となりやすい。
多くの会社では、ゴールデン・サークルの一番外側のWHATを説明する。続いてHOWを説明することもある。しかし、それで終わってしまい、WHYが欠落したまま。「WHATとHOWで人々を導こうとしている」のだと述べています。
■WHYを具現化した企業
本ではAppleやStarbucksといった、WHYを具現化したベストプラクティスが示されています。「円の内側から外側へとコミュニケーションをはかると、消費者が買い物をする理由がWHYとなり、社の信条を具体的にしたものがWHATとなる」とWHYから始める意義を述べています。。
Appleのスタイリッシュなノートパソコンやiphone、あるいは筆者のような随分前に買ったiPod touchホルダーにとっても、購入した時の高揚感や優越感は特別なものです。
著者によればAppleをApple足らしめているのは、「信念」というWHYを具現化しているからだと。「人々は、あなたのWHATを買うわけではない。あなたがそれをしているWHYを買う」のだと。コミュニケーションでもWHATやHOWよりもWHYを意識しないといけない、ということにいまさらながら気が付きました。