プレスリリースは「タイトルやリードはできるだけ簡潔に」すべきなのか
■2016年上期の日経MJヒット商品番付(上記の表は日経電子版より転載)
2016年上期の日経MJヒット商品番付をまとめた結果が、日経電子版に先月(6月7日)出ていました。この中で特定の商品は上記画像にあるように3つ。「新型プリウス」、「カップヌードルリッチ」、そしてソニーの小型プロジェクター「LSPX-P1」。
「社名・タイトル(サブタイトル)」、「リード(第一段落)」でプレスリリースが記事として採用されるか否かが大方決まってしまうといわれます。ヒット商品番付に加わる栄誉に浴したような商品だけに、リリースにも「他にはない光るもの」があるのではないかと感じて、発売開始を伝えるリリースの冒頭部分を比べてみました。
「新型プリウス」(TOYOTA、発表日:2015年12月9日)
サブ:走行性能の大幅向上を図るとともに、JC08モード40.8km/Lの低燃費を実現
リード:TOYOTAは、プリウスをフルモデルチェンジし、全国のトヨタ店、トヨペット店、トヨタカローラ店、ネッツ店を通じて、12月9日に発売した。
TOYOTA、新型プリウスを発売 | TOYOTA Global Newsroom
これだけ見ると、「あの」プリウスの最新モデルの発表にしては、ずいぶん淡白なリリースという印象を受けます。
しかし、やはりというべきか、この2か月前の10月13日に「新型プリウスに採用される先進技術を公開」というリリースを発表、12月に上市することを伝えていました。また、11月には報道関係者向けに試乗会を開くなど、このリリースの裏に隠れた、「新商品をお披露目だけに終わらせない」という高度な広報戦術が見て取れます。
■「タイトルやリードはできるだけ簡潔に」という幻想
「カップヌードルリッチ」(日清食品、発表日:2016年3月28日)
タイトル:「カップヌードル リッチ 贅沢だしスッポンスープ味 / 贅沢とろみフカヒレスープ味(4月11日発売)」
サブ:カップヌードルよりうまい?ブランド初のプレミアムタイプが登場!
リード:1971年9月18日に発売した世界初のカップ麺「カップヌードル」は、おかげさまで今年45周年を迎えます。今回、45周年記念商品の第一弾として、カップヌードル初のプレミアムタイプ「カップヌードル リッチ」を発売します。
「カップヌードル リッチ 贅沢だしスッポンスープ味 / 贅沢とろみフカヒレスープ味」(4月11日発売) | 日清食品グループ
「LSPX-P1」(ソニー、発表日:2016年1月20日)
タイトル:「超短焦点レンズを採用し、場所を取らずに、壁やテーブル面などに映像を映し出せるポータブル超短焦点プロジェクターを発売」
サブ:家の中のさまざまな場所に投写することで、好きな空間をつくり出せる
リード:ソニーは、好きな映画や動画、静止画などを、家のさまざまな場所に投写して楽しめるポータブル超短焦点プロジェクター 『LSPX-P1』を発売します。(後略)
超短焦点レンズ採用、壁やデスクに映像を映せるポータブル超短焦点プロジェクター発売 | プレスリリース | ソニー
「タイトルやリードはできるだけ簡潔に」が原則とされていますが、この2社の場合はそうとも言えません。日清食品は、商品名をしっかりと打ち出しつつ、既存商品との違いを表現。ソニーも、これまでになかった新しいタイプのプロジェクターであることを伝えるためか、かなり情報量の多い冒頭部分です。
トヨタは発売に至るまでの多様な広報戦術を通じて、記者に伝えたいメッセージを伝えようとしていますし、他の二社、特にソニーのリリースの冒頭部分からは、商品の特徴を伝えるためには、杓子定規に考えずに、「記者に訴えたいことをタイトルにする」ことが大事だということがわかります。
「ヤフートピックス」は13文字という短い見出しで「つかみ」を得ますが、プレスリリースのタイトルは、簡潔さと訴えたいことのバランスが重要です。字数で決める問題ではないということかと。