■お辞儀にかける時間
謝罪会見のトレーニングの現場で話題に上ることがあるのが、「お辞儀の時間と角度」です。スポークスパーソンがお辞儀を早々に切り上げて、頭をあげてしまうと、「誠意がこもっていない」と記者は感じるだろうし、カメラマンも最大のシャッターチャンスを失うことになります。
5秒位が適正と言われますが、記者によっては、「3秒くらいでいいんじゃない」
という人もいれば、「7秒くらいその体勢を維持しないと伝わらない」という人もいます。
某大手都市銀行の頭取が不祥事に関する謝罪会見で9秒もの間、お辞儀を続けたという話を最近聞きましたが、これは逆に長すぎるとして不評だったといいます。もとより謝罪する内容にも左右されるわけで、時間を必要以上に気にするのは得策ではありませんが、「ほどほどに長い」のがよいといえます。
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■お辞儀の角度
次に角度ですが、「最敬礼は45度」というような記事がネットに見られますが、それでは不十分という印象を持ちます。角度まで気にしなければならないというのは、一般の人から奇異に感じるところでしょうが。
2010年にトヨタの社長がリコール関連で行った記者会見で、ニューヨークの大衆
紙が「たった40度だった先週末のお辞儀よりも誠意がこもっていた」と指摘した記事がありました。二回目の会見は60度で、好感度を上げたというような書きぶりです。それでも、「日本で謝罪の際に必要とされるお辞儀の角度は75度」とも述べています。
nypost.com
75度が適正かどうかについては異論もあるでしょうが、会見で深々とお辞儀したという印象を与えるなら、机と頭が平行になるくらいがいいのではないかと思います。「気を付け」の体勢からそのまま頭を下げ、机に手を置くのは避けた方がいいでしょう。
■お辞儀の足並みをそろえる
登壇者が一人の場合は、自分のペースでお辞儀をすればいいのですが、複数が登壇する場合は別の注意が必要です。それは、お辞儀の「足並みをそろえる」ということです。
登壇者が複数の場合、お辞儀の時間と角度を申し合わせておかなければなりません。ここで足並みがそろわないと、たとえほどほどに長く、深々と頭を下げても、その効果が半減してしまいます。
今年の初めにSMAPの解散騒動について、生番組の中でメンバーの5人がお辞儀をしましたが、その足並みがそろっていないように映りました。それぞれのお辞儀の角度や手の位置が違いましたので。結果として、メンバー間の足並みの乱れをこの時から見せていたように感じます。