『純米大吟醸酒』スペックで醸造する自家製どぶろくの味
■自家製どぶろくを提供するお店
「どぶろく」を提供する居酒屋に初めて行く機会を得ました。都内ではここだけという、どぶろくの醸造用タンク2台を店内の一角に併設するお店です。どぶろく以外にも全国の地酒が50種類ほど置いています。JR神田駅や東京メトロ大手町駅からほど近い「にほんしゅ ほたる」といいます。
物珍しさも手伝って、筆者はもっぱらどぶろく中心。アルコール度数が清酒に比べて低めな上、ほんのり甘酸っぱく、良くも悪くもスイスイ飲めてしまいます。ちなみにみかけはそっくりでも、マッコリとは原料や発酵工程が違うと初めて知りました。
いわゆる清酒は、米、米こうじ及び水を原料としてこれを発酵させ、「こしたもの」を指しますが、どぶろくは「こす」工程がありません。発酵が済んで、こす前の状態を「もろみ」といいますが、どぶろくは別名「もろみ酒」と呼ばれる所以はここにあります。
筆者は、このお店ではどぶろくしか飲んでいませんが、こだわりの日本酒もあります。ちなみに、このお店で提供される「あて」もおいしいものばかりです。 値段も比較的リーズナブル。(グルメブロガーは指向してません念のため。。)
■濁り酒とも実は違う
厳密にいえば「どぶろく」と「濁り酒」とは違います。その名の通り、「濁り酒」は白く濁っていますが、荒くこす工程が入るので、清酒に分類されます。(どぶろくは、「こさない」からその他の醸造酒)
どぶろくもお酒なので、醸造免許を取らなければ、生産することができません。しかも、年間6キロリットル(一升瓶で約3,300本!)以上の生産が義務付けられているらしい。とても片手間にできることではありません。
どぶろくといえども、店主によれば、「『純米大吟醸酒』スペックで醸造している」と。酒類業の監督官庁である、国税庁のホームページによれば、原料、製造方法等の違いによって、以下の8種類に分類されているそう。さして気にもせずにこれまで飲んでいましたが。
下の表にある、「精米歩合」とは、白米(玄米からぬか、胚芽等の表層部を取り去った状態の米)のその玄米に対する重量の割合。精米歩合が低ければ低いほど、香りが高まり、雑味のない味わいになるそうです。
日本酒選びをもっと賢く簡単に!ぜひ知っておきたい日本酒の「精米歩合」の意味とは? | KURAND
■もっとお酒飲もうよ(苦笑)
成人1人当たりの酒類消費数量は、1992年度の101.8リットルをピークとして減少傾向にあるといいます。2013年度には82.8リットルとピーク時の8割程度です。発泡酒や“第三のビール”、あるいは手軽なチューハイの普及によるビールの大幅減少は理解できます。
しかし、清酒も例外ではなく、消費が減少傾向にあり、経営に苦しむ酒蔵も少なくないらしい。一方、輸出は好調で清酒の2014年の輸出金額は、過去最高の115億円(対前年比109.3%)であり、酒類全体の輸出金額の約4割を占めています。
観光庁のデータによれば、訪日前に期待していたことに「日本のお酒をのむこと」は2割にとどまりますが、8割以上が満足したとあります。外国人にも受けている日本のお酒。このお店も若い世代に「日本酒の魅力を伝えたい」といいます。
お酒をたしなむことは、二十歳以上の特権。魅力を少しずつでも知る人が増えてほしいと思います。