好奇心が人生を豊かにする(後編)
■企業のメンター制度
人生やキャリアの方向性を決めあぐねているときに、自分の資質を理解しているメンター(指導者、助言者)が背中を押してくれたり、軌道修正してくれたりすることがあります。尊敬できる会社の上司のケースが、多いでしょうが、自分に好影響を与えてくれる礎的な存在と解釈すれば、たとえあったことがなくてもメンターたりえると思います。
ある程度の規模の企業なら、入社3年目くらいまでの若手社員向けのOJTでは、メンターがつけられ、一対一で指導を受けることが多いでしょう。私のいた会社ではメンターではなく、ブラザーと称していましたが。
■ 好奇心の重要性とは
好奇心の効用について先日取り上げました。その本に好奇心を利用して人のやる気をアップさせる「六つのコツ」が紹介されています。つまり、メンターとして部下のモチベーションを維持向上させるヒントです。親子や教師と生徒などにも応用が可能です。
- 大きなプランを描いて、人々と共有する
- 「お金を超えた報酬」をあげる
- みんなに「考えさせる」質問をする
- 耳を傾け、受け入れ、無意味な対立を避ける
- 物事に「つながり」をつくる
- 続ける
5は「興味があること」と、「しなくてはいけないが、特に興味が持てないこと」につながりを見つけるといいといいます。コンピュータゲームやスマホが好きな子供の興味を、数学や物理学への興味につなげるように。無理強いではなく、「価値や意味を見いだせるようにサポート」するのがメンターの役割です。「言うは易く行うは難し」ですが、意味するところはよく分かります。
マネックス証券のCEOの松本大氏の「10億円を捨てた男の仕事術」(2003年)という本があります。今や東証一部上場のネット証券の雄ですが、本を出したころは、その数年前にマザーズに上場したばかり。それでもまだ40歳にもなっていない頃の本ですから、世の中にはすごい人もいるものです。
本の中に「好奇心」に関する記述にページを割いています。その中に、「情報感度を支えるのが好奇心だとすれば、ビジネスパーソンとしての実力を高めるために必要な要素は、英語でもなければMBAでもなく、実は限りない『好奇心』だと。
松本氏は、情報収集力に大きな個人差はないとしたうえで、「好奇心の掛け目」が人によって大きく違うと指摘しています。つまり、情報収集力×好奇心=情報感度と。必要な情報を見極める能力が好奇心によって備わるとしています。筆者も同感です。
■「好奇心」に関する二人の偉人のことば
偉人は本を通して個人個人のメンターであり続ける存在です。好奇心についてアインシュタインのことばがあります。
I have no special talent. I am only passionately curious.
(私には特別な才能があるわけではない。とても好奇心が強いだけだ。)
また、ウォルト・ディズニーも次のように言っています。
The special secret of making dreams come true can be summarized in four C’s. They are Curiosity, Confidence, Courage, and Constancy.
(夢をかなえる秘訣は4つのCにある。好奇心、自信、勇気、そして継続だ。)