広報パーソンのつぶやき

事業会社の広報担当者と広報コンサルティングの経験からコミュニケーション全般をメインに、ライフスタイル風なネタも。全国通訳案内士(英語)

謝罪会見で辞任が回避出来たかもしれない「たられば」を考えてみた

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舛添東京都知事の辞任

 6月21日、つまり今日ですが舛添要一東京都知事が正式に辞職します。「都知事の椅子」にしがみついていたかに見えましたが、「万策尽きた」と感じたのか、最後はあっさりと会見も開かずにその座を放り投げました。

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 都知事のような公職にある人は、自分を厳しく律しなけれればならないのは当然です。なので、公費を使って家族旅行に行ったり、ネットオークションで美術品を大量購入したり、あるいは公用車で別荘に通い続けるようなことをする時点で「品格に問題あり」なのではないか。

 

 「違法性がない」からといって、大手を振って行うようなことでは決してありません。ましてや東京都知事なのですから。納得感の得られない行動をとり続け、不信感ばかりが募り続ける状況だったにもかかわらず、自分に都合のいい釈明を繰り返す姿に多くの都民は失望し、反感を抱きました。

 

■「法的に問題ない」や「みんなやっている」はNG

 企業の不祥事が発覚した後の会見の受け答えでは、「法的には問題ない」という表現はNGとされています。記者、あるいはその後ろにいるステークホルダーにとって、法律に違反したかどうかを知りたいのではない。あくまで不祥事を招いたことに対する道義的な責任をどう考えているのかを知りたいのです。

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 舛添都知事も「責任を痛感しており、今後このようなことが起きないように全力を尽くす」といった表現を会見の随所で使っています。しかし、その一方で、「不適切だが、違法ではない」と言う迷言も。

 

 「何が問題なんだ」、「たいしたことじゃない」という態度も見て取れます。言葉に出さなくてもこうした態度がNG。

 

 企業の不祥事で、社長が何度も謝罪会見を開くケースは多くありません。しかし、都知事となると話は別。毎週定例会見があるし、それ以外の場でも記者と対峙する場面は多いはず。そのたびに、「今後このようなことがないように・・」と繰り返すわけにもいかないので、釈明に追われる時間が長くなる。

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 釈明に追われ続ける中で、ようやく「弁護士を使った調査」や「給与の全額返上」などを表明しますが、すでに問題発覚からしばらく経ってから。「給与の全額返上」などは、6月13日に初めて表明したので、辞任を決めるわずか2日前のことです。

 

■「たられば」ながら・・・

 「たられば」ですが、公私混同問題が発覚した後の最初の会見で、違法性云々といった野暮なことは言わずに、「ちょろまかしてスミマセン。やり過ぎでした」とその非をあっさり認めて真摯に謝罪する。

 

 そして、「ちょろまかした分の清算」はもちろん、「給与の全額返上」も表明していたら。マスコミも追及し甲斐がなくなり、都民も「そこまでするなら」と感じて状況は違ったものになったかもしれません。新たな都知事選びに50億円!かかるわけだし。

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