広報パーソンのつぶやき

事業会社の広報担当者と広報コンサルティングの経験からコミュニケーション全般をメインに、ライフスタイル風なネタも。全国通訳案内士(英語)

雑誌の生き残りとマイクロペイメント

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■マイクロペイメントって何?

 雑誌といえば書店やコンビニで購入したり、年間購読を申し込んだりすることが多いと思います。例えば、「プレジデント」の年間購読を今申し込むと12,000円(1年、24冊)だし、「週刊ダイヤモンド」は25,700円(1年、50冊)です。(割引適用後)

雑誌のFujisan.co.jp|雑誌・定期購読専門オンライン書店

 

 この年間購読のサービスを利用すれば、書店などで買うより3割近く安くなります。最近ではこうした雑誌にもデジタル版があり、1冊が紙版より2~3割ほど安く購入できます。

 

 雑誌業界の不振について先日書きましたが、雑誌の現役編集者から「マイクロペイメント」への取り組みをどうするかが課題という主旨の話を聞いたことがあります。初めて聞く新鮮な言葉でしたが、記事単位で課金される少額決済の仕組みなのだそうです。

yhkhashimoto.hatenablog.com

 

 調べてみると、既存メディアの記事を個別に販売するサービスがオランダではすでにあり、米国進出間近なのだとか。ニュースのiTunes化というたとえがあるそうです。アルバムごとではなく、好みの曲だけダウンロードするようなことは筆者もたまにします。

jp.wsj.com

 

■まもなく米でサービス開始?

 ブレンドル社の米国向けサービスは1月4日現在、スタートしておらず提携を予定している出版社は不明です。記事によれば、「出版社は記事の値段を自ら設定し、売り上げの70%を得ることができる。」、「読者が求めていた記事でなかったり満足いかなかったりした場合に返金する機能もある」と。

 

 80年代後半に生まれたジャーナリスト出身の若い二人が創業したブレンドル社ですが、地元オランダではすでに市民権を得たサービスらしく、国内の主要媒体すべて(80媒体)が参加しているそうです。しかも意外なことに中心登録者層は20代から30代前半。

 

■雑誌の記事のマイクロペイメントは実現可能?

 先の編集者が所属するような、専門性の高い雑誌を複数ラインナップしている出版社なら、ある特定のテーマに関心を持って、さらに周辺知識を仕入れたいと思った場合、他の雑誌の関連記事を読みたいというニーズは読者にもあるのではないか、と考えるのも自然なことだと思います。

 

 いきなりブレンドル社のようなプラットフォームと提携しなくても、手始めとして自社メディアの有料登録者向けのサービスとして、自社内の他雑誌コンテンツをマイクロペイメントで提供するようなことは、難しいことではないでしょうし、件の編集者も私見として「ありうる」といっていました。

 

 ニュースの提供の仕方もスマホなどの登場で随分変わりました。iTunesiPodが世に出たのもほんの15年前だということを考えれば、読者のニーズに合った形にメディアが変わっていくことは十分予想されます。

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