「トランプ勝利」に改めて感じる「KISSの原則」
■ブッシュ氏の次に低いというトランプ氏の英語レベル
大方の予想をくつがえして、共和党のトランプ候補が民主党のクリントン候補を破って、次期米国大統領の座につくことになりました。過激な発言を繰り返すことから「暴言王」とも称されるトランプ氏ですが、大統領選の投開票を翌日に控えた11月7日の朝日新聞に、両候補の発言の特徴をまとめた比較記事がありました。
トランプ氏の発言の特徴は三つ。「否定語が多い」、「攻撃的な語が多い」、そして「問いかけが多い」です。そうしたフレーズがメディアに取り上げられやすく、そうした特徴的なフレーズに触れる機会が多いのも当然といえば当然ですが。
現職のオバマ大統領はスピーチの名手として知られ、印象に残る演説を残していますが、それに比べると、どうしてもトランプ氏は見劣りしてしまいます。とはいえ、筆者のように英語を上達させたいと思っている人にとっては、トランプ氏の演説は比較的聞き取りやすいように感じます。
記事の中で、その英語レベルについて、「主な歴代大統領候補のスピーチ英語の大半は6~8年生(日本の小6~中2に相当)レベルだが、トランプ氏の使う文法は6年生をやや下回り、前大統領のジョージ・W・ブッシュ氏の次に低かった」という米大学の研究結果を紹介しています。
■KISSの原則を実践したトランプ氏
Eテレ(NHK)で「ニュースで英会話」という番組があります。11月17日の放送では、「トランプ勝利」を取り上げていましたが、ゲストのデーモン閣下も「わかりやすい」とコメントしていました。
勝利が決まった後は、それまでの「否定語」や「攻撃的な語」は鳴りをひそめ、「まとも」な発言をしているように感じます。自分を売り込み、印象付けるための戦略として、わざと過激な発言を繰り返していたのかもしれません。
「常に簡潔にせよ」という「KISSの原則」というものがあります。大統領選に限らず、コミュニケーションの原則といえますが、トランプ氏はこれをうまく利用したといえます。ここでいうKISSとは”Keep it simple, stupid”あるいは”Keep it short and simple”の略です。
KISSの原則は、ウェブサイトのデザインやSEO対策にも応用されているそうですが、「伝えたい相手にうまく伝わらない」と感じた時に思い出したいコミュニケーションの大事な秘訣です。