広報パーソンのつぶやき

事業会社の広報担当者と広報コンサルティングの経験からコミュニケーション全般をメインに、ライフスタイル風なネタも。全国通訳案内士(英語)

「お宅の社員は、こんなこともできないのか」と感じたことはないけど…。

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■「大企業で通用しても、中小企業で活躍できる人はごく一部」

 「中小企業は社会の主役である。企業数の99%以上、従業者数では7割を占める」と書き出しにあった、3月12日付の朝日新聞のコラム、「経済気象台」に目が留まりました。タイトルは「中小企業活性化は現場から」。

 

 記事を読むまで知りませんでしたが、「プロフェッショナル人材事業」というものを政府主導で行っているそうです。ホームページには以下のようにあります。

 

 「本事業では、各道府県にプロフェッショナル人材戦略拠点を設置し、地域の関係機関等と連携しながら、地域企業の『攻めの経営』への転身を後押しするとともに、それを実践していくプロフェッショナル人材の活用について、経営者の意欲を喚起し、民間人材ビジネス事業者等を通じてマッチングの実現をサポートします」。

 内閣府 プロフェッショナル人材戦略ポータルサイト

 

 わかったようなわからないような説明(というか一文長すぎ!)です。要は、地方創生のために、都市圏で働く各分野のプロフェッショナルと地方の中小企業のマッチングの場を提供するプロジェクトのようです。

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 コラムの「削」氏によると、「発想が単純すぎるように思える。大企業で通用しても中小企業で活躍できる人はごく一部」と手厳しい。その理由は、「数少ない人材を活用しないといけない中小企業のことが理解できない。現場で一緒に解決しようという姿勢も薄い」から。

 

 さらに続けて、何人かに来てもらったものの、「すれ違い、お互い不満だらけ」だったといいます。こうしたギャップを埋めるべく、採用時に何度も面接が行われるのでしょうが、表面化しにくい問題なのかもしれません。

 

 お互いに「こんなはずじゃなかった」と感じるようなミスマッチは、残念ながら、えてして起こるものです。筆者も、グループ企業を含めて3万人以上の従業員がいる製造業から、30人に満たない会社に移った過去があるので、ある程度理解できます。

 

■根本的なことをなおざりにしない

 記事にある中小企業に移った採用者は「お宅の社員は、こんなこともできないのか」とコラム氏に言ったそうです。そこまでの”上から目線”はないものの、どちらもしっているけだけに微妙な問題です。ただ、自分が同じことをいわれたら、「お宅がそれほどご立派な理由を私たちにわかりやすくご教示ください」というでしょうね。

 

 短期的にしか物事を見ていないから、同じことを何度も繰り返す」。そんなことは移ってみてよくわかりました。企業の大小ではなく、別のところに問題がありそうですが。

 

 広報活動でも、小手先ばかりで基本的なことが、なおざりなるケースがよくあります。手っ取り早く広報活動を活性化しようとして、PR会社のような外部に応援を頼むことがあります。しかし、頼んだ先の彼らは、広報活動のサポートを生業としている会社の社員ではあっても、その多くは広報のプロフェッショナルではない。

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 多くのイベントや記者会見をこなした経験があるとしても、それは広報活動の引き出しの一つに過ぎません。イベントの場数を踏んだとか、多くの記者を集めたからといって、それは一過性の出来事にすぎない。

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 「小手先の部分に手を打つことに終始して、根本的な問題解決に至ることがない」という状況にならないように、コミュニケーションの基本に立ち返り、相手(クライアント)が必要としていること、欲していることを繰り返し愚直に聞く。そこに課題を見つけ、解決策を探し出し、協働で実践していく。そんな形があるべき姿だと筆者は思います。

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