広報パーソンのつぶやき

事業会社の広報担当者と広報コンサルティングの経験からコミュニケーション全般をメインに、ライフスタイル風なネタも。全国通訳案内士(英語)

グローバルニッチトップ企業でも感じているかもしれない情報発信力という課題

■日本のグローバルニッチトップ企業

 経済産業省が2年前に、グローバル展開に優秀と認められる実績がある企業を「グローバルニッチトップ企業」として表彰し、その「100選」を選定したことを先日初めて聞きました。

グローバルニッチトップ企業100選(GNT企業100選)(METI/経済産業省)

 

 このうち、69社は中小企業、上場しているのは27社。選定にあたっては、「世界シェアと利益の両立」、「独創性と自立性」、「代替リスクへの対処」、「世界シェアの持続性」が評価のポイントに。

 

 自転車に乗るほとんどの人がそうとは知らずにお世話になっている、自転車用変速機関連部品のシマノといった世界的な企業も含まれていますが、ほとんどは一般の人にとってはなじみの薄い企業。大半が機械や部品、そして素材を製造するメーカーなのが最大の理由でしょう。

 

 例えば、フロイント産業は、医薬業界に向けて、世界に先駆けて自動フィルムコーティング装置とフィルムコーティング液の開発に成功し、世界市場シェアは2割強。水上印刷は、複写機やスキャナー、プリンターなどの性能を評価するための印刷物、これをテストチャートといい、その分野で世界シェアの約9割を占めています。

 

 漁船上で使用される「全自動イカ釣り機」の製造販売で世界市場シェア約7割を占める東和電機製作所という会社もありました。イカそうめんが有名な函館市に本社があります。イカ釣機以外でも、青森の大間におけるマグロ一本釣機も90%近くが同社のものだそう。従業員約50名の立派な中小企業です。

 

 ちなみに、ここでいう中小企業とは「製造業では、資本金が3億円以下か、従業員が300人以下のいずれかに該当」する会社。特定の商品・サービスについて、過去3年以内において1年でも、世界市場の10%以上のシェアを確保したことがあるものを選定候補の対象としています。

 

グローバルニッチトップでもその他大勢の会社と同様の課題が

 100選に選ばれた会社はどれも、「グローバルニッチトップ」を地でいく優良企業ですが、こうした企業にも共通する課題があります。それは、「知名度の高い大企業に比べて人材の確保が難しい」ということ。

 

 たまたま取り上げた上記の三社も、自社のホームページを開設し、コミュニケーションツールとして活用しています。しかし、ひょっとしたら知名度が低く、情報発信力が課題と感じているかもしれません。

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 知名度を高めるには、情報発信力、コミュニケーション力が重要な位置づけを占めます。「近代マーケティングの父」といわれるフィリップ・コトラーの「マーケティング10の大罪」(2005年)によれば、「コミュニケーションツールごとの、あるいはチャネルごとの効果性は時間とともに変化していくもの」と述べています。

マーケティング10の大罪

 

 さらに、「それにもかかわらず、毎年同じ比率で予算を配分し続けるとすれば、マーケティング活動の生産性は徐々に低下することになるだろう」と。

 

 中小企業にとってコミュニケーションツールに割り当てられる予算の絶対額は大きくはないでしょう。その中で、多少手前味噌ですが、広報活動の費用対効果は折り紙付き。コトラーも「広告よりもPR(広報)に投資した方がより効果的だと考えられるようになってきた」と認めています。

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