社内広報で伝えるべき二つのポイント
■二つに大別できる企業のコミュニケーション業務
企業のコミュニケーション業務は対象別に二つに分けることができます。社外を対象としたものと社内を対象としたものです。よく「風通しのいい会社(とか職場)」という表現がされますが、社内のコミュニケーションが活性化されない限り、それを実現することは容易ではありません。
社外向けの積極的なコミュニケーションによって、影響力の大きいテレビや新聞に取り上げられれば、問い合わせが増えて、売り上げの増加などにつながります。ひいては、業務の活性化や社員のモチベーションの向上に一役買うことが期待できるので、効果的な広報活動は重要な経営課題の一つです。
とはいえ、報道対応のような社外向けのコミュニケーション業務の実情について、大多数の社員は知らないことが多く、「自分には関係のないこと」と感じているのではないでしょうか。筆者自身も広報の仕事に関わる以前はそうでした。
なので、大多数の社員にとってなじみがあるのは、社内向けのコミュニケーション、つまり社内広報です。ある調査によると、仕事の生産性は、社内コミュニケーションによって左右されると考える人は9割に上ると言います。ここでは、職場の人間関係という文脈で使われていますが、いずれにせよ、社外広報より社内広報が大多数の社員にとっては身近な存在であるのは間違いありません。
■社内広報で「伝えるべきポイント」は二つある
社内広報で「伝えるべきポイント」は二つあると考えます。一つは、「企業が向かおうとしている方向性やあるべき姿」です。例えば、「会社がこれからどこへ向かおうとしているのか、目標がどこにあって、どのようにそれを達成するつもりなのか」といったことです。
そしてもう一つは、「職場や社員の取り組み」です。例えば、「他部署が何を感じながら日ごろの業務を行っているのか、どういう取り組みをして、どのように課題を解決しているのか」といったことです。
一つ目は「経営トップ層の考え」、もう一つは「他の社員が日ごろ感じていること」と言い換えることもできます。この二つを社内報やイントラネットを使って、継続的に発信し続けることが重要です。ちなみに、最近は社内報も紙ではなくデジタルにする会社もあるようですが、筆者はあくまで紙をおススメします。
社内報などのコミュニケーションツールは、不特定多数に伝える手段として効果的です。ただ、頼り過ぎるのは考えものです。コミュニケーションの王道はあくまで、「フェイス・トゥ・フェイス」です。特に、経営トップと社員の意見交換の場を設けることは、どんなツールにも勝る取組です。