FDルールの施行が与える日経の業績予想への影響
■「フェアリー・ディスクロージャー・ルール」とは
「フェアリー・ディスクロージャー・ルール」というのがあります。上場企業が未公表の重要な内部情報を第三者に伝えることを禁じるルールです。こうした内部情報の公正な情報開示ルールを導入しようという動きが出てきているそうです。12月28日付の朝日新聞「経済気象台」で知りました。
「米国では2000年に施行され、韓国、EU、中国なども続き、いまやグローバルスタンダード」と。日本もようやくこの動きが本格化したようです。今までなかったことが意外といえば意外ですが。ただ、開示の対象となる情報の範囲をどこまでにするかなど、課題もあるようです。
■沈黙期間のある会社は約7割
株価に影響のある情報が洩れることを防ぐために「沈黙期間」が設けている会社があります。記事にある調査によれば、7割近い企業が設定しており、その期間は「22~45日」が86%。今は四半期決算が主流ですから、最長で180日(1年の半分)がその期間という計算になります。
これだと業績の取材を行いたい記者やアナリストからは不平の一つも聞こえてきてもおかしくありません。企業が沈黙期間を厳密に守ろうとすればするほど、彼らのフラストレーションが高まりそうです。
米企業では、沈黙期間中でもアナリストなどにCFO等が対応しますが、「目下、当社は沈黙期間中です」と断り、ルールを逸脱するような情報には答えないようにしているといいます。
■日経の業績予想は8割が正しい?
決算発表が近くなると、日本経済新聞に業績予想の記事がよく掲載されます。2年ほど前のブルームバーグの記事に興味深い調査記事がありました。
それによると、「日経平均株価採用の225社について調べたところ、国内経済紙の日本経済新聞が営業利益を中心に業績観測記事を報じたのが45社。このうち、82%に当たる37社で示された数値・レンジが正しいか、あるいは会社側公表の実績値に対する乖離が10%以内に収まっている」のだそうです。
記者と企業の間で、どのようなやり取りがあるのかは当事者にしかわかりませんが、個人的な印象では、予想確度はもっと高いと思っていました。なぜなら業績予想の記事は、証券部の記者が決算発表の時期を見越して、担当企業の財務担当役員や経理部長への取材を申し込み、暗に示された数字をヒントに予想することが多いはずだからです。
FDルールの施行が日経の業績予想にどのような影響が与えるのか、あるいは与えないのか。そんな視点からも注目したいと思います。