「お酒飲めない人生は損してる?」のか
■「お酒飲めない人生は損してる?」という投書
9月7日の朝日新聞のオピニオン面に「お酒飲めない人生は損してる?」という40代女性の投書とともに、4人の意見が投稿されていました。投書した女性は職場の同僚から、「お酒が飲めないなんて、人生、半分損してると思う」と力説され、ショックを受けたといいます。
たとえ、下戸でも「人生を損しているなどと、全く思わない」、「お酒以外に好物があってむしろ得」といった意見もあれば、「人生の損得と関係ない」、「もっと早くからお酒の楽しみを知っておけばよかった」という意見まで様々です。
いろんな考え方があっていいと思いますが、「呑兵衛」を自認する筆者でも、投書にある同僚の心無い言葉には賛成できません。飲めないより飲めた方がいいと感じることはありますが、そうした価値観を他人に押し付けるものではないと思うからです。
■「お酒は飲んでも飲まれるな」
景気の低迷や若者の飲酒離れなどもあって、飲食業界も厳しい状況にあるといいます。市場規模は、「1997年の29兆円をピークに下がり続けて、現在はおよそ2割減の23~24兆円」だといい、奇しくも新聞の発行部数と同じ年にピークを迎えています。
90年代後半といえば、連日のように「飲みにケーション」していた頃です。これまで下戸の人と一緒に仕事をすることも少なくありませんでしたが、この頃の直属の上司だった人もその一人。職場内の飲み会では最初からウーロン茶などのノンアルコールでした。
その上司は下戸なのに、宴席は大好き。客先との飲み会が連夜に及ぶことも少なくありませんでした。こちらは調子に乗って飲んでしまいますが、本人は飲まないので、接待の場をどんどん設営します。調子に乗り過ぎて次の日まで残ることもあるので、逆にその上司をうらやましくすら思いました。
お酒が入ると人が豹変する人もたまにいます。普段は寡黙で真面目なのに、お酒が入ると人が変わって、攻撃的になって手が付けられなくなるような人です。いわゆる酒乱というやつです。酒量が増えるに従ってそうなる人、ちゃんぽんがよくない人など、観察しているとスイッチの入り方も違うようです。
こうした悪酔いしやすい人は、かえってお酒が飲めてしまうがために、「人生半分損している」のではないかと心配です。昔から「お酒は飲んでも飲まれるな」といいます。損得は気にせず、たとえ飲める人でもほどほどが一番です。