他社より優れた分野を三つに絞り込み、その三つの強みを繰り返し訴える
■四本の脚で支えられたマーケティング
「マーケティング」とは「売れる仕組みづくり」を指します。以前受けた講座でも、「企業や個人が営む事業の目的を達成するためには、顧客に提供できる価値を創造し続け、しかもその価値をできるだけ広く伝えなければならない」、と教わりましたが、それこそがマーケティングなのだと。
「売るための仕組み」が出来上がっていると、そこにメスを入れるのを躊躇するもの。買い手側の購買行動は、消費財と産業財とでは大きく異なりますが、産業財の方が、既存の「売るための仕組み」を変えることは難しいように思います。筆者の個人的な印象ですが。マーケティングと聞くと、消費財の話と思ってしまうところもあります。
「すぐに利益を急上昇させる21の方法」(2004年)によれば、どんな事業であれ、最終的にはマーケティング戦略次第だといいます。もちろん、消費財も産業財も関係ない。そして、マーケティングには、四つの柱があると書かれています。
それは、①「特化(Specialization)」、②「差別化(Differentiation)」、③「細分化(Segmentation)」、④「集中化(Concentration)」。
これら「四つとも取り入れて、うまく展開しない限り、市場で生き残り、繁栄することができない」と断言。このうち一つでもかけているとバランスが悪くなる。四つの柱じゃなくて、四つの脚だとしたら、安定しなくなって、椅子から転げ落ちてしまう。
■他社より優れた分野を三つに絞り込み、それぞれの強みを繰り返し訴える
「特化」とは、創造のもととなる製品やサービスの「的を絞る」ということ。より多くの人や市場に提供したいという誘惑を断ち、「自分で専門分野を決めるだけでなく、顧客の目から見てもスペシャリストでなければならない」。
ライバルの製品やサービスにどこでどのように差をつけるかというのが「差別化」。「細分化」とは、自分たちが提供できる誰よりも得意とする分野で、最高の利点を手にする顧客層を絞り込むこと。そして最後が「集中化」で、絞り込んだ潜在顧客層にリソースを注ぎ込むことで、「最小の労力で最大の見返り」をもくろむというわけです。
別の章では、「差別化」について、競合他社に比べて少なくとも三つの分野で優れていなければならないとあります。例えば「よりよく、より早く、より安く」というように。ジャック・ウェルチも「競争優位をもたないなら、競争しないほうがいい」と述べている。
他社より優れた分野を三つに絞り込み、それぞれの強みを繰り返し訴えること、それが「競争の激しい市場で成功する」ための秘訣だとあります。マーケティングやセールスもそうですが、広報担当者にとっても同じことが言えそうです。