広報パーソンのつぶやき

事業会社の広報担当者と広報コンサルティングの経験からコミュニケーション全般をメインに、ライフスタイル風なネタも。全国通訳案内士(英語)

「東京にいる学生のうち、地方出身者の割合がすごく減ってきている」というマスコミ業界

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「若者よ、ジャーナリストを目指せ」

 朝日新聞社が発行する「Journalism」という月刊誌があります。2016年3月号の特集が「若者よ、ジャーナリストを目指せ」。主要マスコミの採用担当者の座談会やアンケートなどが組まれています。

 

 広報担当者のはしくれとして、記者のキャリアパスのおよそのことは、聞いていますが、改めて書かれているものを読む機会が少ないのでなかなか新鮮です。

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■主要マスコミの入社後のキャリアプラン

 例えば、「入社後のキャリアプランについて教えてください」というアンケートの設問に、読売新聞社は、「取材記者は入社後、約3か月の研修を経て、全国の総支局に配属されます。(中略)5年程度の育成機関の後に本社に異動し、本人の希望や適性に応じて社会部や政治部、運動部などの専門的な取材部署に配属されます」。

 

 同じ新聞社でも日本経済新聞社は、「記者職の場合、東京や大阪など都市部で記者生活を始めるケースが多いのが特徴です。(中略)入社後10年ぐらいまでは3年程度で異動し、いろんな仕事を経験してもらいます。10年前後で現場のリーダーとして取材を指揮する立場になります」と。

 

 さらに、「2014年春には入社3年目で海外支局に2人配属」されたとか、昨年のFinancial Times買収に伴い、「16年初めから記者の人事交流」も始まっていると都行った興味深いことが書かれています。

 

 NHKの場合、スタートから東京への異動はさほど読売新聞と変わりませんが、「そして再びデスクや中堅記者として地方放送局に異動し、その後、東京に戻るというように循環型の異動によってキャリアアップ」していくと。

 

■もはや”花形業界”ではなくなった?

 マスコミは大学生にとって、昔も今も”花形業界”のはずですが、日経の採用担当者(以下同)によれば、「30年ぐらい前と比べれば、おそらく半分ぐらいに志望者は減っています。うち(日経)は、去年ようやく下げ止まりましたが、新聞社、マスコミが、学生の間で人気が落ちたんだということは、実感しています」と意外なコメントをしています。

 

 マスコミがハードな職場であることは、彼らの仕事ぶりの一端を知る一人として、大いにうなずくところですが、志望者の減少についてNHKも、「プライベートの時間を大切にするという気質の変化」があることを認めつつ。それ以外の変化もあるといいます。

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 それは地元意識です。昔なら東京の私大に来ていたような、地方出身者の学生が地元の国立大学などに入るようになり、そのまま地元の企業に就職する。「地元意識が強くて、あまり外に出たがらない人がいる。そうすると最初からNHKは転勤が多いので、志望から外すということになってしまう」のだと。

 

 読売新聞も「東京にいる学生のうち、地方出身者の割合がすごく減ってきている」と。地方出身者が、主要マスコミが入りたがらなくなっているのだとすれば、同郷の話で盛り上がることも少なくない、地方出身者の一員としては残念な兆候です。あえて、「地方出身者の若者よ、ジャーナリストを目指せ」といいたいです。

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