広報パーソンのつぶやき

事業会社の広報担当者と広報コンサルティングの経験からコミュニケーション全般をメインに、ライフスタイル風なネタも。全国通訳案内士(英語)

人生最期の食事には「春」を楽しみたい

お題「人生最後の日に食べたいご飯を教えて下さい。」

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■人生最期の食事には「春」を楽しみたい

 飲んでいるときに「お題」と似たような話題になったことがあります。その時は、「人生最後の日に食べたいものを『二つ』教えて」というものでした。中には食べたいものなのに「キンキンに冷えたビール」と答えるものがいたりして。6人ほどのメンバーでしたが、「●●(レストラン)の●●が食べたい」という人は一人もおらず、手作り系だったのが印象的でした。

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 かくいう筆者も「春巻きと春雨サラダ」と答えました。どちらも長年家で親しんだ手作りのものをイメージしたものです。どちらもなんてことはない食べ物ですが、外で同じメニューを食べるより明らかに自分の口には合っている気がします。やはり食べ慣れたものを最期にも食したいと思います。

 

 「春」でまとめたのは偶然ですが、そう答えながら「何でどっちも『春」なんだ」と思った記憶があります。春巻きは広東料理なのだそうですが、新芽が出た野菜が具になったことが由来なのだとか。春雨も中国発祥ですが、向こうではそう言わないそうです。半透明な短い麺の形状が「春の雨」を想起させるのだといいます。

 

 そう考えると、普段は意識することはありませんが、「中華料理好き」ということかもしれません。麺類もいいけど「最期の日」にふさわしいかといえば、そうではないように感じるし、かといって●●料理のフルコースなどは「二つ」の縛りに外れるし、何より分不相応だし、決して食べ慣れていないし。

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飲み会で必ず盛り上がる鉄板ネタ

 飲み会のメンバーに応じて、いろんな話題が出てくるものですが、社内の飲み会ならそこにいない同僚の話題がテーマになることも多いと思います。筆者も以前、「昨日何度もくしゃみしなかった?」と聞かれ、何事かと思ったら話題の中心になったのだそうです。会話の中身は怖くて聞いていませんが。

 

 それはそれとして、人畜無害で誰もが思うところがある話題といえば「食」です。「人生最後の日に食べたいものを『二つ』教えて」というしばりなのでお酒は入りませんが、許されるなら筆者なら当然ここにお酒が入ります。

 

 「人生最後の日に食べたいもの」という話題提供の主によれば、「必ず盛り上がる鉄板ネタ」だといいます。確かにそうかもしれないとこの時感じました。その人の意外な人となりを知ることができるし、みんなが参加できるし。

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炎上で人生を壊された人についての本

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「世界最大のネット炎上事件」

 この2月に発売された「ネットリンチで人生を壊された人たち」という本を読みました。新書にしては分厚い本ですが、著者の緻密な取材もあって、とても読み応えがありました。この中で「世界最大のネット炎上事件」のことを初めて知りました。

ルポ ネットリンチで人生を壊された人たち (光文社新書)

 

 30代の米国人女性による人種差別的なツイートが発端です。ツイートの内容は本に譲りますが、出来の良くないジョークと言えなくもありません。驚いたのは、このツイートをつぶやいた白人女性がIT企業の広報ディレクターだったということです。実名で職場も明らかにしたうえでのツイートだったわけです。

 

 アフリカ行きの飛行機に乗る前に行ったツイートによって、搭乗後に拡散し、「どの飛行機でいつ到着するか」、「到着後のツイート主の写真を撮る」といったことが本人が何も知らないまま、特定されてしまいました。

 

 本来、コミュニケーションやネットに関するリテラシーが高くないとつとまらないとはずの人物が、不用意に行ってしまったのが大炎上のきっかけです。この騒動のせいでこの女性で会社を即刻解雇され、自身の人生が大きく狂うことになります。フォロワーは100人程度だったそうですが、フォロワーの一人がジャーナリストでこの人物がリツイートしたことが拡散のきっかけだったそうです。

 

■ネット炎上と渋谷の交差点

 本にも紹介されていますが、「フェイスブックは知り合いに見栄を張るところ。ツイッターは見ず知らずの他人に本音を言うところ」と。確かにそういう一面はあると思います。先日当ブログでも述べたソフトウェア開発の社長の炎上ツイートもその一つです。

yhkhashimoto.hatenablog.com

 

 先の広報ディレクターやソフトウェア開発の社長のツイートに触れると、「何バカなこと言ってるんだ」と怒りのリツイートを生むのも理解できるところです。以前、読んだ新聞記事に「ネットにモノを書くということは、渋谷の交差点で、ボードを掲げて立っているのと同じ」とあったことを思い出します。

yhkhashimoto.hatenablog.com

 

 渋谷の交差点でボードを掲げても、そのボードをしまえばそれ以上は何も起こりません。しかし、ネットは永遠に残ってしまいます。「ツイート(ボード)を読んでいやな気持になる人がいないか?」ということを「必要以上に」意識しないと「人生を壊されてしまう」こともある、ということをこの本を読んで感じます。

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「初めての給料で、親に感謝の意を示そう。きっと、父や母は胸を熱くする。あなたの心は温まる。」

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■「新入社員の皆さんへ」

 4月に新社会人となって、初めての給料を手にした人もいるのではないでしょうか。新調したスーツに身を包んだその姿は、集団で行動していることが多いこともあって、一見してそうとわかります。

 

 当ブログで何度か取り上げている朝日新聞の「経済気象台」というコラムがありますが、「新入社員の皆さんへ」と題したコラムが先日掲載されました。とても共感する内容でまさに新入社員にふさわしいものです。

digital.asahi.com

 

 匿名のコラムですが、署名には「玄」氏とあります。5つの話を贈っています。一つ一つ心の中でうなづきながら読みました。700字ちょっとなので、A4一枚より少ない文字数ですが、見事にまとめています。

  1. 長く続く新社会人向けのサントリーの新聞広告
  2. 玄氏が36年前の入社式で会長から送られた言葉
  3. 「諸君。学校出たら、勉強しよう。」という82年の日経の広告コピー
  4. 玄氏の経験から「いろんな人と会話をしよう」
  5. 「初めての給料で、親に感謝の意を示そう。きっと、父や母は胸を熱くする。あなたの心は温まる。」

 

 これを読んで自身が社会人になったずいぶん前のことを思い出しました。当時はいわゆるバブルの頃で、大して苦もせずそれなりの大企業に就職することが出来ました。インターネットも携帯もそして「就活」という言葉すらない時代でしたが、あっという間に決まってしまいました。

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世阿弥の言葉

 「初心忘るべからず」という言葉があります。室町時代足利義満の庇護を受けて、能楽を大成した世阿弥の言葉です。若い時に失敗や苦労を忘れるなという戒めですが、必ずしも「初心」とは「若い時」に限らず、他に二つあります。それは「歳を経て積み重ねられたその時々」と「老齢期」です。

yhkhashimoto.hatenablog.com

 

 筆者が社会人になった頃は、そうした余裕も気遣いもすることができませんでしたが、今ならその気持ちがよくわかります。「初めての給料で、親に感謝の意を示そう。きっと、父や母は胸を熱くする。あなたの心は温まる。」というコラムにある言葉に深く感動しつつ、「初心忘るべからず」という言葉を改めて噛みしめています。

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