広報パーソンのつぶやき

事業会社の広報担当者と広報コンサルティングの経験からコミュニケーション全般をメインに、ライフスタイル風なネタも。全国通訳案内士(英語)

猫検定とミルクボランティア

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■「第一回猫検定」の開催を新聞で知る

 週末にスポーツ紙を読むのを日課としていますが、4月16日の紙面に「猫検定」に関する記事が出ていました。様々な民間資格や検定がありますが、この猫検定は今年が第一回目でした。全国の5都市で3月26日に行われ、4000人が挑んだのだそうです。筆者は日刊スポーツの記事で知りましたが、読売新聞にも紹介記事がありました。

www.yomiuri.co.jp

 

 質問は生態、暮らし、歴史、文化の4科目に分かれ、合計100問。7割の正答率で合格です。「ネコノミクス」という言葉が生まれるほど、昨今は猫ブームと言われますが、同紙によれば、「今回の『猫検定』の新設は、猫の人気を象徴する動き」と指摘しています。

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 初級と中級があり、収益の一部は保護団体に寄付されるそうです。「単なる趣味や遊びの検定ではなく、保護団体にも認められていることを知ってほしかった」との主催者のコメントにありました。猫のことを深く知る一つのきっかけになるだけでなく、保護団体の活動にもつながるという点で興味深い。

 

 我が家にも猫がいます。同居生活も丸3年となります。ルーティンをとても大事にする生き物だと感じます。その生態には苦笑することも少なくありませんが、飼っている人はもちろん、飼いたくても変えない人にも知的好奇心をくすぐられる検定です。

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■ミルクボランティアって何?

 保護した飼い主のいない子猫を預かり、授乳などの世話をする「一時飼養ボランティア(ミルクボランティア)」というものがあると知りました。朝日新聞(千葉県版)の4月22日の記事です。「殺処分される猫の数を減らし、新しい飼い主への譲渡を進める狙い」で県内の動物愛護センターが行っているものです。

www.city.chiba.jp

 

 同センターに保護される猫のほとんどは、生まれたばかりの子猫が多いといいます。排せつや授乳で世話に手間が成猫に比べてかかることから、やむを得ず殺処分になるケースが多いと。2015年度に同センターで殺処分された猫の数は1321匹。減少傾向にあるといいますが、一日当たり4匹の猫がなくなっている計算です。

 

 ミルクボランティアは、生後3か月程度まで飼育をして、離乳後は同センターが引き取り、避妊去勢手術をするなどして新しい飼い主に譲渡されるそうです。こうした制度があれば、「ずっと世話することは難しいけど、ちょっとの間なら」と考える人にはおススメかもしれません。

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社長のツイッターを読んでいなければ入社できない会社

 

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■社長のツイッターを読んでいなければ入社できない会社

 「採用面接で『私のツイッターを読んでいますか?』と聞いている」とつぶやいたソフトウェア開発会社の社長のツイートが波紋を呼んだという話を最近聞きました。その理由は、これに続けて「読んでいない人材は、不採用。(中略)非常識な人材は仕事もできません」とあったからです。

 

 つぶやきの主によると、「自分の会社に入社したい人は、自分のツイートをチェックするのが当然」で、これが「常識」なのだといいます。このツイートを行った翌日に拡散が始まり、異論を唱える意見や否定的なコメントが続出しました。いわゆる「炎上」です。まとめサイトにも話題として取り上げられています。

 

 会社の社長として実名でつぶやいているだけに、(当人はそうは思っていないのかもしれませんが)明らかに不用意な発言です。会社やそこで働く社員に悪影響が出てもおかしくないでしょう。「そんな了見の狭い会社ならこっちから願い下げ」といった意見が出ても何ら不思議ではないし、まとめサイトにもそうした声が引用されていました。

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 こうした反応を知ってか知らずか、このツイートを最後に更新が止まっています。実際にそのツイートを見てみたら18,000以上のRTがありました。ほかにも英語ができない人を全否定したようなつぶやきもありました。

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「会社のホームページを読んでいますか?」だったら?

 言うまでもありませんが社長は会社の顔です。SNSを積極的に活用する社長もいます。炎上前はさほどフォロワーも多かったわけではないでしょうから、「このぐらいのつぶやきは平気」と思ったのかもしれません。しかし、お客さんがフォローしていたり、つぶやきを読んでいることもあるはず、ということはちょっと考えればわかるはずです。

 

 面接時にホームページを見たり、ニュースサイトでその会社の記事を検索したりすることはよくあることです。この会社のHPを訪問すると社長のアカウントが埋め込まれているので、最終面接だと「どんな社長かな?」と気になってみる人もいるでしょう。でも「読んでなければ不採用」っていうのがどうなんでしょうか?

 

 この社長の発言が「会社のホームページを読んでいますか?」だったら、反応も違ったかもしれません。ただどちらにしても、たとえ読まないで面接に臨んだとしても、その理由を聞くべきでしょう。理由も聞かずに非常識だと一刀両断することのほうがよっぽど非常識です。

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通販大手の倉庫火災は模範事例になり損ねた失敗事例

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■危機管理広報の模範事例

 危機管理広報の模範事例として広報担当者の間で知られているとおもうのは、米J&Jのタイレノール事件と参天製薬の脅迫事件、そしてアルジェリアで起こったテロ事件での日揮の対応です。

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 三社ともスピード感をもって事態に対処しました。「企業がどんなに気をつけていても、ブランドに危機は訪れるものだ。企業はコントロールできるものは、危機が発生した時にどのように対応するか、その意思決定の部分である」と以前読んだ「あのブランドの失敗に学べ」にありますが、それを実践しています。

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■模範事例になり損ねた失敗事例

 最近起こったアスクルの埼玉県にある物流拠点で発生した火災もひょっとしたら模範事例になった「はず」でした。2月16日9時ごろに発生し、12日後の28日に鎮火しました。幸いけが人はありませんでした。

 

 ちなみに火災には火の勢いが収まった状態を指す「鎮圧」というのもあり、これは報道によると22日でした。火の勢いが倉庫内という環境下で一週間近く収まらない状況だったということになります。

 

 同社の岩田彰一郎社長が鎮圧を受けてマスコミの前に現れ、謝罪を行いました。プレスリリースは火災当日や鎮圧の日を含め、3月14日の「第13報」まで火災の状況をプレスリリースとして発表しました。2月19日には2度行っています。これらのリリースの中で、前回報告時からの変化点が一目でわかるようになっています。

 

 リリースには「近隣にお住まいの皆様をはじめ、多くのお客様、お取引先様、関係者の皆様にご迷惑、ご心配をおかけしておりますことを深くお詫び申し上げます」と書かれています。多くのステークホルダーがいる中で、お詫びの優先順位への配慮がうかがえます。

 

 3月9日に改めて社長以下が記者会見を実施、報道によると「東京ドーム1個分にあたる約4.5万平方メートルが焼損したと。けが人がなかったことが幸いしましたが、情報を随時更新し、マスコミに情報提供を欠かさない姿勢は見習うべきものがあります。ブランドの危機が迫る中で、「意思決定の部分はコントロールできていた」と感じます。

 

 3月16日に予定していた決算発表を4月5日に延期して開かれた決算説明会で火災による101億円の特別損失の計上を発表しました。ここまでの対応は模範事例となりうるものでした。

 

 ところが、そのわずか2日後に、「倉庫で保管していたスプレー缶など可燃性のある危険物の総量が基準を超えていた疑いがあるとして、アスクル本社(東京都江東区)などを消防法違反容疑で家宅捜索した」と報道されてしまいました。

アスクル本社を捜索 倉庫火災巡り :日本経済新聞

 

 残念ながら、模範事例になり損ねた失敗事例として記憶に残りそうです。

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