広報パーソンのつぶやき

事業会社の広報担当者と広報コンサルティングの経験からコミュニケーション全般をメインに、ライフスタイル風なネタも。全国通訳案内士(英語)

芸能人やタレントをPRイベントに呼ぶときに注意したい二つのこと

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姫路城

■バレンタインデーとPRイベント
 バレンタインデーが近づいています。残念ながら筆者にとってなんのワクワク感もないただの日に成り下がっていますが。だいぶ前のこの時期、銀座のデパートで「チョコレートを買う時に過剰包装を控えよう」という内容の環境啓発イベントの裏方として参加したことがあります。

 このイベントでは、「マイバッグがあるから」とチョコ売場の店員に過剰包装を辞退する場面や「スマートラッピングを推進しよう」という主旨のメッセージボードを掲げて主催者や女性タレント等がカメラポーズをする場面が演出されました。そのあとの囲み取材では、「マイバッグや過剰包装について一緒に考えましょう」的な呼びかけがなされ、翌日のワイドショーやスポーツ紙でそれらの様子が報じられました。

 10年以上前のことですが、今でもテレビで見かけることのあるタレントやお天気キャスターが参加していました。筆者にとって、タレントを間近で見る機会などそれまでほとんどなかったので新鮮な経験となりました。これ以降、こうしたPRイベントのお手伝いをする機会が何度かありました。

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■芸能人やタレントを呼ぶときに注意したい二つのこと
 記者会見やイベントに多くのマスコミに来てもらいと考えた時に、芸能人やタレントを呼ぶことがあります。自社のネームバリューが低いとか、発表したい中身のニュースバリューが高くない場合、芸能人やタレントの出演がフックになることがあります。その結果として、報道番組やワイドショーでも取り上げられることもあります。なので、こうしたイベントは毎日のように都内のどこかで行われているはずです。

 ただ、注意したいことが二つあります。一つはコストがかなりかかることです。筆者自身がタレントのブッキングやギャラ交渉に関わったことはありませんが、聞いた話だとそれなりに名の通ったタレントの場合、「2時間拘束で100万円以上」といいます。

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 もう一つはタレントがメインとなってしまうことです。タレントの誰々が「何をした、何を言った」という文脈で報じられるので、何のためのイベントだったのかが全く伝わらない危険性を秘めています。テレビであれば、バックパネルなどでかろうじて主催者のロゴが映るかもしれませんが、取り上げてもらいたかったはずの自社の商品やサービスについてはほとんど触れられることがない、ということになりかねないということです。つまり、「コストをかけた割に、思ったほどの露出効果がなかった」ということが起こりえます

 とある企業の広報担当者に聞いたら、「(PR会社の提案に従ってお笑い芸人をイベントに初めて呼んでみたが)想定していたほどの露出効果がなかった」とこぼしていました。イベントの主旨を見極め、メリットとデメリットを十分吟味する必要がありそうです。

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採用計画がニュースリリースの課題になったPRプランナー三次試験

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北海道大学にあるクラーク博士の像


■2021年春入社から就活指針を撤廃

 経団連のホームページに掲載されている『「採用選考に関する指針」の手引き』によれば、2020年度入社の大学卒業予定者・大学院修士課程修了予定者等の採用選考の時期は、広報活動は「卒業・修了年度に入る直前の3月1日以降」、選考活動は「卒業・修了年度の6月1日以降」、正式な内定日は「卒業・修了年度の10月1日以降」となっています。

 

 ここで広報活動という言葉が出てきますが、「採用を目的として、業界情報、企業情報などを学生に対して広く発信していく活動を指す」と定義されています。3月までは、「不特定多数向けの情報発信」のみ行うことができ、学生の個人情報の取得や個人情報を活用した活動は自粛されることとなっています。とある企業の人事責任者によるとそろそろ準備に入るタイミングのようです。

 

 こうした就活スケジュールは過去4年間維持されてきましたが、昨年9月に「2021年春入社から就活指針を撤廃」する旨が経団連会長から表明されました。近年の採用市場は「売り手市場、短期決戦、早期化、大手志向、安定志向」といった言葉で表現されます。採用コミュニケーションツールやインターンシップなど取り巻く環境も年々変化しています。ただでさえ慣れないはずの就活ですが、来年就活を迎える学生にとって戸惑う場面が増えそうです。

 

■入社式と採用計画

 将来の自社の成長を牽引する人材の安定確保は、企業の人事担当者によって、喫緊の課題ですが、広報担当者にとっても腕の見せ所です。入社式や採用計画などがダイレクトに採用活動に関係する発表内容です。ずいぶん前に広報担当者だったころは、4月1日の入社式と社長の訓示、4月下旬の翌年春の採用計画の発表は毎年のルーティンでした。

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 他の会社も同様なのだと思っていましたが、様々な企業と広報関連の仕事をするようになって感じたのは、せっかくの機会を活かしている企業が思いのほか少ないということでした。それぞれの会社の事情もあるでしょうが、もし、入社式や採用計画を発表していないのなら、是非検討してほしいネタです。

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■PRプランナー三次試験に出題

 先日、PRプランナー三次試験を受験しましたが、課題A(ニュースリリースの作成)では、従来の若手人材の採用方式を廃止し、新たに通年採用を柱とした制度に変更するという内容のものでした

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 ちなみにPRプランナー試験は年2回、夏と冬に行われます。去年の8月に三次試験を受験しました。このときのニュースリリースの課題は、二酸化炭素の排出量の削減に向けた取組についてでした。答案の出来にはそれなりに自信を持っていましたが、結果はあえなく「不合格」。元々取得するつもりのなかった資格ですが、ここまで来たら意地です。(笑)

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「電車の乗り過ごし」と「天声人語」

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明石大橋

■「平成最後の」忘年会
 先日(12月12日)の朝日新聞の「天声人語」で「電車の寝過ごし」を取り上げていました。「平成最後の」忘年会シーズン真っ盛りな上に、心当たりが少なくないこともあって興味深く読みました

www.asahi.com

 

 

 深酒をしてしまった後の電車帰宅は睡魔との戦いです。立ったままつり革につかまっている状態なら、何とかなっても、いざ座れるチャンスが現れると、その後は目を開け続けているのがつらくなってしまいます。特に翌日が休みの場合、安心感も手伝ってその傾向が強くなりるようです。

 目が覚めたら降りる予定の駅からはるか先に行ってしまい、やむを得ずタクシーで自宅まで帰ったり、買ったばかりのお気に入りのイヤホンをなくしてしまったり、どういうわけかズボンのひざの部分がすりむけていたり。起きたら乗ったはずの駅にいて時間だけが経過していたというようなこともあります。

 「乗り過ごし」経験の豊富な筆者ですが、こうした経験がある人が「存外多い」といいます。記事によれば、「首都圏で働く人の6割強が寝過ごしたことがある」と。そして、このうち「5人に1人が『終点まで行った』」経験がある」のだと。佐藤製薬が行ったアンケート結果に基づいているとあり、気になって同社のHPを調べてみました。

ニュースリリース | 薬と健康を見つめる製薬会社 佐藤製薬株式会社


■1年越しの天声人語掲載
 出典のアンケートは昨年12月に同社が行った「忘年会シーズンの電車寝過ごし実態調査」で、「都内近郊に住む20代~50代のビジネスパーソン」を対象にしたものです。つまり、昨年発信したプレスリリースが1年越しで天声人語への掲載に至ったというわけです。同社の広報担当者(あるいはPR会社の担当)の企画のたまものです。昨年発表したものが朝日新聞の記事(しかも天声人語!)になって、さぞかし驚いたことでしょう。まさに「広報担当者冥利につきる」成果といえます。

 
 こうしたアンケート調査を使ったPRは「アンケート・パブリシティ」といわれるもので、以前から割と頻繁に行われています。自社の商品やサービスと関連のあるアンケートを行って、その結果をリリースにまとめて発表するものです。佐藤製薬は胃腸薬などの市販薬のメーカーということで、忘年会とは親和性が高い企業です。

 同社では今年も「平成最後の忘年会!飲みすぎ実態調査」を11月30日に発表しています。また、過去のリリースを見ると2015年から忘年会シーズンに先駆けてこうした情報発信を行っているようです。「ネタに困ったらアンケートパブ」ということを改めて思い出しました。

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